こんにちは、ワンワンです。
1級建築士試験は難しい試験ですが、どの程度の合格率かはご存知ですか?
1級建築士は国家資格なので合格率は低いです。そんな合格率を知れば、どれだけ勉強時間が必要になるのか想像がつきやすくなってきます。
そして、あなた自身も本気で試験対策に取り組まなければと考えることだと思います。
またこれから受験を考えているあなたにとって、2020年の建築士法改正によって合格率がどうなっていくか気になってきますよね。
2020年以降についてもワンワンの考えを述べて行きたいと思います。
2020年度(令和2年)の一級建築士試験の申し込みについて知りたいあなたは、こちらをお読みください。
この記事では、
- 1級建築士の合格率
- 2020年以降の1級建築士の合格率(推測と見解)
を1級建築士合格のワンワンが解説していきます。
この記事の目次
1級建築士試験の合格率
1級建築士試験は学科試験と製図試験の2段階で構成されています。学科試験を合格しなければ、製図試験に行けません。
そして学科試験を合格すれば、3回製図試験が受けれます。つまり学科試験免除ですね。
これが1級建築士試験となります。
ここに合格率水位のグラフがあります。ちなみに1級建築士試験が変わった平成21年からとしています。

多少は変動がありますが、
- 学科試験の合格率は約18%
- 製図試験の合格率は約40%
- 学科試験と製図試験の合格率を合わせると約12%
となります。
ここでわかることは、まず第一関門の学科試験の合格率の低さが目につきます。学科試験を通れば、製図試験は4割が通るのでグッと合格率が上がるのがわかります。
まずは学科試験を通ることを一番に考えて、勉強していくことが大事ですね。
もう一つ重要なことは、合格点の高い人から合格していくことです。そのため毎年学科試験の合格点は変わってきます。基準は90点ですが、試験の難しさによって合格点が上下します。
みんな試験の出来が良かったから、みんな合格ですよ、合格率が上がりますよという試験ではありません。
次に受験者数の推移を見ていきます。

見ればわかりますが、受験者数は平成21年から下がっていき約3万人くらいで止まっています。平成21年以前だと約5万人以上が受験していましたが、受験者数が約半分に減ってきました。
だから1級建築士を持つ若手が少なくなって行き、1級建築士を持つ人の平均年齢が高くなってきていることが問題になっています。
これは平成18年時の1級建築士の年齢分布となります。

1級建築士の平均年齢は56.2歳とかなり高年齢化していることがわかりますね。平成18年から10年以上経っているので、平均年齢はもっと上がっていると考えれられます。
そして50歳代は約半数、60歳代はほぼ全員が引退していると考えても良いでしょう。
逆に言うと、若手20代、30代の1級建築士は価値が高まってくると言えますね。
2020年以降の1級建築士試験の合格率について
建築士法の改正
1級建築士には問題になっていることがあります。
- 少子化による1級建築士受験者の減少
- 1級建築士の高齢化による資格者の減少
このままでは1級建築士が減り続けて、建物の設計をする人が足りなくなる危機が将来考えられます。
その問題を防ぐために平成30年12月8日に「建築士法の一部を改正する法律案」が国会で可決されました。
これは簡単に言うと、受験資格の緩和をして受験者数を増やそうという事です。
受験者数が増加 → 合格者が増加 → 1級建築士が増加
となりますね。
受験資格の緩和についてはこちらの記事をお読みください。

この建築士法改正は公布から2年以内に施行なので、早ければ2020年の試験で実施されることになります。
2020年度(令和2年)の試験から1級建築士の受験資格緩和が行われることが決定しました!(2019/09/06)
では、2020年以降の1級建築士試験はどうなっていくでしょうか。
2020年以降の1級建築士試験 ワンワンの推測
ここからはこれまでのデータや建築士法改正の内容からワンワンが推測していきます。
2020年以降から1級建築士試験の受験資格緩和により、大学、大学院、専門学校を卒業したての社会人の受験者が入ってきます。
これは受験者の増加になってくると考えれます。ここは皆さんも予想できると思います。
そしたら合格率はどうなるか?
1級建築士は国家資格です。国としては1級建築士の保有人数を増やしたいですが、1級建築士の質が落ちるのは避けたいと考えているでしょう。
なので、ワンワンは合格率は変わらないと推測します。なぜなら合格率は変わらなくても合格者は増加するからです。
今の1級建築士合格率は約12%なので、12%と仮定します。
- 受験者数 30,000 合格者 3,600
- 受験者数 50,000 合格者 6,000
と受験者数が増えることで合格者も増えてきます。
実際に思ったより受験者数が伸びない場合は、テコ入れで合格率を増やす可能性がありますが、2020年以降からしばらくは1級建築士の合格率を変えないのではとワンワンは考えています。
合格率は変わらないですが、学科試験の合格点はどうなるかというと合格点が高くなる可能性があります。ワンワンは学科試験の合格点が少し高くなると推測します。
理由として学生卒業してすぐの受験生が増えるということがあります。
- 学生の間に1級建築士試験の勉強ができる
- 大学などの学校で1級建築士試験対策講座を始める。
大学などの学校も卒業生の1級建築士合格者を増やして学校をアピールしたいということも考えるでしょうから、資格学校と提携して1級建築士対策講座を始めるんではないでしょうか。
そして学生の間に勉強をした受験生達が来るので、1級建築士の学科試験の合格点が少し上がるのではないかとワンワンは思ってます。
製図試験については合格基準について謎が多い試験なので、わかりません。おそらく合格率は変わらないとはワンワンは考えています。
2019年度 1級建築士試験 学科試の合格予想点
2019年度の学科試験について各資格学校の合格予想点です。
- 総合資格 97点
- 日建学院 96点±1
- TAC 96点
足切り点は共通で
- 計画 11点
- 環境設備 11点
- 法規 16点
- 構造 16点
- 施工 13点
今回は学科試験の平均点が高かったです。全体的に点数が取れていると想定できます。まず足切り店はクリアしている事が前提となります。
その上で2019年度は96点、97点が学科試験の合格ではないかと予想できます。
過去に96点、97点の合格点があるか調べたところ、1級建築士試験が変わった2009年(平成21年)に学科試験の合格点97点があります。
そう考えると96点、97点という合格基準点は高いように見えますが、過去にも97点があるので現実的な点数かもしれませんね。
その2009年時の学科試験の合格率は19.6%とになります。
2019年度(令和元年)の学科試験結果
2019年度の学科試験の合格発表がされました。
- 実受験者数:25,132人
- 合格者数:5,729人
- 合格率:22.8%
- 合格点:97点
実受験者数は去年とほぼ同等の人数ですが、合格者数は去年(2018年)より約1000人増加をしています。(2018年度 学科試験合格者数:4,742人)
合格率については、1級建築士の新試験(平成21年)に変わってから過去最高の合格率となっています。
製図試験の受験者は2018年度で9,251人でした。2019年度は学科試験の合格者が増えている事を考えると、製図試験の受験者数は約10,000人になるとワンワンは想定します。
製図試験の合格率が2018年で41.4%となっています。
2019年度の製図合格者は約4,100人とワンワンは想定します。
(2019年度の試験結果は3,571人と厳しい結果になりました。)
製図試験では合格者を劇的に増やすということは考えづらいですが、2018年と同じ合格率であれば、合格者の4000人越えで去年より約500人の合格者の増加となります。だから合格率が劇的に上がるとは考えづらいです。
過去5年間で製図試験合格者数が4,000人を超えていません。しかし、1級建築士の新試験制度が始まっての2009年〜2012年の時は製図試験受験者数が10,000人を超えていて、かつ、合格者が4,000人超えでした。
合格者4,000人超えは可能性が高いかとワンワンは思っています。
また2019年度(令和元年)の製図試験結果が出てから検証していきます。
2019年度(令和元年)製図試験結果
2019/12/19に製図試験の合格発表がありました。今回はイレギュラーな形となっています。
今回は、製図試験日に台風19号の影響で、下記の都道府県で試験が中止となりました。
- 岩手県、宮城県、山形県、福島県
- 茨城県、栃木県、群馬県
- 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
- 長野県、新潟県、富山県、石川県、福井県、静岡県
上記の都道府県については2019年12月8日に製図試験が行われ、合格発表は2020年2月5日の予定となっています。
今回の製図試験の合格発表の対象は、2019/10/13に受験した方のみを対象としています。
結果は下記となります。
- 全国29会場
- 受験者数:4,214人
- 合格者:1,541人
- 合格率:36.6%
去年の製図試験合格率41.4%より落ちいていますが、まだ一部地域のみの発表なのでなんとも言えません。
全国で56会場あるうちの29会場ですので、約半分の会場の合否については不明です。また一番受験者数が多い東京都、それに準じて多い神奈川県も含まれていませんしね。
ワンワンの製図試験の予想受験者数は10,000人なので、半数以上の受験者についての合否はまだわからない状態です。
仮に受験者数が10,000人とすれば、残り受験者数は10,000-4214=5,786人
合格率を37%とすれば、5786×37/100=2140人が合格者となります。すると合計で3,681人となります。
これでは去年の合格者(3,827人)より少なくるので、10,000人より多い受験者数がいるか、合格率が40%程度になるかと予想します。
そうすると合格者合計4,000人程度が目安になるのではと推測します。
また2019年2月5日に検証していきます。
2019年度(令和元年)製図試験結果 追加 2/5
再試験による製図試験合格発表がありました。
- 実受験者数:5,937人
- 合格者数:2,030人
- 合格率:34.2%
合格率は10/13の本試験合格率約36%と同じくらいになっています。本試験と再試験を合わせると、
- 実受験者数:10,151人
- 合格者数:3,571人
- 合格率:35.2%
となりました。製図試験受験者数は1万人超えです。これは平成24年度の試験以来となります。製図試験受験者数は増加しましたが、合格率を去年より絞った結果となりました。
ワンワンの予想では製図受験者数が増えるので、合格者数は4000人超えとなるのではと思っていましたが、厳しい結果となりました。
今回は再試験が有りのイレギュラーな形なので、どこまで今までのデータが参考になるかという点は疑問が残ります。
令和元年の学科+製図試験を合わせると
- 実受験者数:29,741人
- 合格者数:3,571人
- 合格率:12.0%
と近年と変わらない結果となりました。
製図試験の採点結果を見ていきましょう
- ランクI(合格):34.2%
- ランクⅡ(不合格):5.3%
- ランクⅢ(不合格):31.9%
- ランクⅣ(不合格):28.6%
去年までは15%以上ありましたが、令和元年度の試験でランクⅡがかなり少ない結果となりました。
ランクⅡとなれば、あと一歩で合格できるという位置にあります。しかし、今回の試験ではランクⅡを極端に減らしに来ています。
つまり、設計の諸条件をしっかりと表現して書き込んでいないと不合格になる傾向をより強くしています。
今までは減点で済んだミスでも、不合格になる可能性が高いという事です。具体的には、
- 設計条件のミス:要求されている部屋がない、要求されている床面積が足りてない
- 法適合のミス:防火区画、避難距離、容積率、建蔽率のミス
- 建築計画のミス:吹き抜けが無い、アプローチ、ゾーニング、動線計画等のミス
となります。
- 試験に出てくる設計条件をしっかりと読み込んで、抜けが無いように表現する。
- 法基準を必ず守る。
- ゾーニング、動線計画など計画の基本を押さえる。
基本的なことになりますが、上記の条件をミスなく図面と設計の要点に表現する事が合格への道となるとワンワンは考えています。
追加情報
2019/08/04の追加情報
7月のパブリックコメントで追加情報が出ました。
学科試験の免除について2案が出ています。
- 一級建築士試験の学科の試験を合格した者について、学科の試験に合格した一級建築士試 験に引き続いて行われる4回の一級建築士試験のうち2回(学科の試験に合格した一級建 築士試験の設計製図の試験を欠席した場合は3回)の一級建築士試験について、学科の試 験を免除するよう見直す。
- 学科の試験の免除を受ける場合の事前申請を不要とする。
②の事前申請が不要になると楽になりますね。①の方が大きな改正となるかもしれません。
①の解釈として、「学科試験が合格して、製図試験が不合格になった場合、その後の4回の試験の内2回については学科試験の免除を受けれる」という学科試験の免除回数は増えてないですが、免除期間は長くなるという事です。
今後のスケジュールとして、
- 公布:令和元年9月上旬
- 施行:改正法の施行の日
となっています。令和元年9月には上記の内容と受験資格については変更内容に含まれそうです。そして、2020年の1級建築士試験では新しいものとなる可能性が高いです。
そして、この建築士法の改正が2020年以降の合格率にも影響を与えていきます。
パブリックコメントなので、この内容で決定したわけではありません。あくまで可能性が高いということです。
パブリックコメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする時に、事前に、一般から意見を募り、その意見を考慮するようにしています。今回のパブリックコメントは令和元年8月15日までが意見の締切となります。
2019/09/06の追加情報
2019年09/06に国土交通省から正式に建築士法の改正について閣議決定された事を発表されました。
1級建築士の受験資格についての緩和が令和2年3月1日に施行されます。
これで2020年(令和2年)の1級建築士試験は大学などの学校卒業者がすぐに1級建築士受験が可能となり、より受験者数が増えることが予想されます。
また建築士の登録、受験料についての見直しも行われました。
- 1級建築士 受験手数料 19,700円 → 17,000円
- 1級建築士 登録手数料 19,200円 → 28,400円
1級建築士の受験料は安くなりましたが、登録手数料は逆に金額が上がりました。こちらの登録手数料は登録免許税が含まれいないものだと思います。(おそらく)
登録免許税は60,000円なので、合計すると88,400円が1級建築士の合格後の登録に必要なお金となります。
受験資格の緩和についてはこちらの記事をお読みください。

2019/11/1の追加情報
1.実務経験の拡大
設計・監理の実務経験だけでなく、建築物に関する調査、評価業務が加わりました。また、建築士事務所で行われる標準的な設計を行う業務としての一例で、標準仕様の作成、BIM部品の作成も加わってます。
建築という綜合的な業務としての実務経験の見直しとなります。これはより幅広い建築に関わる方が受験資格を得れます。
実務経験の拡大については令和2年3月1日から実務経験にカウントされるので、その点は注意してください。
2.学科試験免除の見直し
今までは学科試験合格後、2回の学科試験免除がありました。学科試験合格後も含めると3回の製図試験を受けるチャンスがありました。そしてそれは学科試験合格の年を含めると3年間有効でした。
今回はこの3回の製図試験を受けるチャンスは変わりません。しかし、この有効期間が5年間(学科試験合格の年を含める)と伸びました。
これは特に女性の方は嬉しいと思います。出産で子供が産まれた年は製図試験の受験が難しいですが、有効期間が5年間あるので受験する年を調整できます。
子供が少し大きくなってから製図試験を受験するという選択肢ができますね。
「1級建築士の合格率は? 2020年以降はどうなっている?」まとめ
1級建築士の合格率は
- 学科試験の合格率は約18%
- 製図試験の合格率は約40%
- 学科試験と製図試験の合格率を合わせると約12%
受験者数は約2万5千〜6千人
1級建築士の平均年齢は平成18年時で56.2歳
2020年以降、建築士法改正により1級建築士試験の受験資格が緩和
ワンワンが推測する1級建築士の合格率について
- 合格率は変わらない
- 学科試験の合格点は少し高くなる
※あくまで推測なので、外れる可能性があります。これは2020年以降に検証したいと考えています。
2020年度(令和2年)の一級建築士試験の申し込みについて知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士の合格について知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士の勉強時間を知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士の合格、不合格の差を知りたいあなたは、こちらをお読みください。
