こんにちは、ワンワンです。
1級建築士の学科試験で構造は30点満点と重要な科目の一つとなっています。特に構造力学が不得意で苦手意識を持つ人が多くいるかと思います。
30問のうち6〜7問が構造力学の計算問題となります。極端な話を言うと、構造力学の問題を全て間違えても他の問題で全てが正解であれば23〜24点取れます。
そのような戦略も一つかもしれませんが、構造力学の計算問題を落とすのはもったいないです。
なぜなら、構造力学の問題は毎年同じような問題しか出ないからです。たまに1問程度、難しい問題が出るかどうかです。
つまり過去問をしっかりできれば、構造力学の計算問題で点数が取れると言えます。
ではどんな構造力学の問題が出るのでしょうか?その問題を知ることこそ、構造力学で点数を取る第一歩となります。
この記事では、
- 1級建築士の構造力学の出る問題解説、解き方(リンク先)
について解説してきます。
1級建築士試験、構造の学習順番を知りたいあなたは、こちらをお読みください。
この記事の目次
構造力学の計算基礎
数学がわからない、構造力学の問題の手前でつまづく、計算がわからないというあなたは、こちらをお読みください。
力の釣り合いの問題
構造力学の計算問題は?
構造力学の計算問題は構造力学の基本となる問題となります。
静定はり
まずは静定はりの問題です。
これは単純梁というピン支点とローラー支点に支えられた梁に力がかかった場合の曲げモーメント、外力の比率を答える問題となります。ここは構造力学の基本となる所なので、しっかりと解き方をマスターしていきましょう。
支点反力の仮定、釣り合い式の算定ができるようにしてください。これが出来なければ、この先の問題も解けないです。まずはこの静定はりの問題をしっかりと解けるようになりましょう。
釣り合い式
ΣX=0 ΣY=0 ΣM=0
静定はりの解き方についてはこちらをお読みください。
静定ラーメン
静定ラーメンの問題は、柱と梁がフレームになっている形で柱はピン支点とローラー支点で支えられています。外力の比率、曲げモーメント図は正しいのはどれかという問題です。
この問題の解き方も支点反力の仮定、釣り合い式の算定と静定はりの解き方と同じ解けます。ただ、柱があることで高さ方向が出てきます。曲げモーメントの計算では、回転の中心点から外力、支点反力の距離を間違えないように注意しましょう。
釣り合い式
ΣX=0 ΣY=0 ΣM=0
静定ラーメンの解き方についてはこちらをお読みください。
3ヒンジラーメン
3ヒンジラーメンとは、静定ラーメンの梁に曲げモーメントが0のヒンジがある(ピン接合)フレームで、柱はピン支点だけで支えられています。
問題の出題としては、支点反力の算出、柱梁接合部の曲げモーメント算出が問われます。
静定ラーメンとの違いは、柱はピン支点だけで支えられているのでヒンジの曲げモーメント0の条件を使って、計算していかなければなりません。計算式は4つになり、少し計算が複雑になります。
釣り合い式
ΣX=0 ΣY=0 ΣM=0 ΣMヒンジ=0
支点反力の仮定、釣り合い式の算定ができれば、怖くない問題となります。
3ヒンジラーメンの解き方についてはこちらをお読みください。
トラス
トラスは三角形の形をした形状(ピン接合でつなぐ)を集合させたものです。トラスは軸力しか生じないと言われる構造です。
ここで出る問題は、ある部材に生じる軸力を計算する問題となります。
この問題を解くには、静定はりと同様で支点反力の仮定、釣り合い式の算定がまず必要となってきます。その後、リッターの切断法と言って部材を切断して、切断した部材の軸力を求める方法があります。
このリッターの切断法でも基本となる釣り合い式の算定が必要となってきます。
このリッターの切断法でほとんどのトラス問題が解けます。また、節点法という解き方もあります。こちらも知っていれば、さらに速く問題が解けるとうになります。
あと三角関数の比率を覚えてください。
トラスの切断法と節点法については、こちらをお読みください。
断面2次モーメント、断面係数、応力度
断面2次モーメントの問題は、四角形、H型、四角形のなかが空洞の形状、円などの形で断面2次モーメントの比較問題が出ます。こちらは公式を覚えていることが重要になってきます。公式さえ覚えていれば解けます。
断面係数と応力度はセットで出ます。ある部材にかかる応力を算出した後に部材の断面係数、断面積を割ることで部材応力度を算出する計算をする問題が出ます。
まずは断面2次モーメント、断面係数と応力度の公式を覚えましょう。
圧縮・引張応力度 σ = N/A N:軸力(圧縮、引張) A:断面積
曲げ応力度(圧縮・引張) σ = M/Z M:曲げモーメント Z:断面係数
次に応力度の分布図を見て式を作れるようにしましょう。あとは連立方程式を解くことで回答ができます。
断面2次モーメント問題の解き方を知りたいあなたは、こちらをお読みください。
断面係数と応力度の問題の解き方を知りたいあなたは、こちらをお読みください。
部材のたわみ
部材のたわみは断面2次モーメントの公式を覚えること、そして部材のたわみの公式を覚えることの2点です。
問題は、2つの梁のたわみが等しい時の外力の比率、2つの梁のたわみの比率が問われます。
これの2点の公式を使って、過去問を解ければOKです、部材のたわみの公式は覚えるのが少し大変だと思います。見慣れない人には分からない記号がいっぱいかもしれませんが、問題を解きながら覚えるのがコツだと思います。
問題を解くことでどの記号にどの数値を入れるか、そして公式自体を覚えれるようになります。何度も同じ問題を復習してください。
梁のたわみ問題の解き方について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
不静定構造
不静定構造とは簡単に言うと、釣り合い式だけでは解けない構造を言います。
どうしたら解けるのかというと、部材のたわみの公式を使って不静定構造の問題を解きます。これは問題によってはヒントがあるので、そのヒントをうまく使って解きます。
その他にも適正な曲げモーメント図を選ぶ問題、水平剛性を解く問題、ブレースがあるフレームのブレース部材に生じる力を解く問題など幅広くあります。
水平剛性の公式
弾性座屈荷重の公式
P = π(2)EI/lk(2) ( )は乗数を示す。
π :円周率(3.14)
E:ヤング係数
I:断面2次モーメント
lk:座屈長さ
座屈長さ
この辺りの問題も過去問をしっかり解ければ、問題ありません。
不静定梁の解き方について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
分配モーメントと水平剛性の解き方について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
トラス構造、ラーメン構造の応力問題の解き方について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
水平剛性・層せん断力の問題、座屈問題の解き方について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
振動、全塑性モーメント、崩壊荷重
振動の問題は、フレームの固有周期、または地震力を求める問題となります。これはまず振動の公式、柱の水平剛性の公式を覚えることが大切です。
固有周期の公式
T = 2π√(m/K)
T:固有周期
m:質量
K:水平剛性
応答せん断力の公式
Q = m × α
Q:応答せん断力
m:質量
α:応答加速度
あとは同じような問題しか出ていないので、過去問を解いてマスターするだけです。
全塑性モーメントの問題は、断面塑性係数の公式を覚えることが大事です。断面係数と似たような公式ですが、違いますので注意してください。
そして塑性曲げモーメントの公式も覚えます。この問題は今までと違った考え方となるため、何度も同じ問題を解いて身につけてください。
全塑性状態についても理解してくださいね。
崩壊荷重の問題は仮想仕事法を使います。仮想仕事法、外力がする仕事量と内力がする仕事量が同じであるということを使って式を作ります。
外力がする仕事は、外力と部材の変形を乗じた数値となります。内力がする仕事は、外力により生じる部材のたわみ角と全塑性モーメントを乗じた数値となります。
この問題では数学の三角関数の知識、たわみ角の公式が必要となってきます。同じような問題しか出ていないので、過去問をしっかりやれば問題ないです。
振動問題の解き方について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
全塑性曲げモーメント問題の解き方を知りたいあなたは、こちらをお読みください。
構造力学の勉強方法は?
基本的に過去問を何度も解くことです。同じ問題を解くことで計算問題の解き方を覚えます。また、毎年同じような問題が出ることが多いので過去問だけで十分に対応できます。
構造力学の勉強の順番としては、静定はりの問題から解けるようにしましょう。この静定はりの問題が解けなければ、この先の問題も必ず躓きます。
支点反力の仮定、釣り合い式の算定は構造力学の基本となります。まずこの基本を必ず身につけてください。
それから静定ラーメン、3ヒンジラーメンと勉強を進めていけば問題が解けるようになってきます。
あと公式をしっかりと覚えましょう。覚え方は色々あると思いますが、やはり過去問を解きながら公式を覚えるのが一番早いと思います。やはり公式は使うことが大事です。
まとめ
構造力学の問題は、静定はり、静定ラーメン、3ヒンジラーメン、トラス、断面2次モーメント、断面係数、応力度、部材のたわみ、不静定構造、振動、全塑性モーメント、崩壊荷重から6、7問でます。
構造力学の勉強方法は、過去問を繰り返し復習しましょう。同じ問題を解くことで解き方を身につけれます。
もう一つは公式をしっかり覚えましょう。公式は問題を解くときに公式を使いながら覚えるのは一番早いと思います。
1級建築士試験、構造の学習順番を知りたいあなたは、こちらをお読みください。