こんにちは、ワンワンです。
家の設計をするときに、木造平家・2階建て、延べ面積500m2以下の建物は、4号建築物と言って、構造計算をしなくて良い建物となります。
その代わりとなるのが壁量計算とN値計算となります。
これは構造計算をするより簡易な計算方法で構造に関する事をチェックできるようになっています。
壁量計算って、ものすごく難しいのではと考えているあなた、この計算は四則演算ができれば簡単にできます。
今回はその壁量計算の中でも存在壁量の確認について解説していきます。
この記事では、
- 壁量計算 必要壁量の計算
について、一級建築士のワンワンが解説していきます。
地震力、風荷重の算出
壁量計算の第一歩として、地震用の必要壁量と風圧力用の必要壁量を計算します。これは難しいのでは?と考えるかもしれませんが、実は簡単に計算できるシステムになっています。
地震力の計算
地震用の必要壁量計算は、床面積に規定されている数値を乗じる事で地震用の必要壁量が計算できます。規定されている数値は下表となります。
地震用の必要壁量=床面積×規定されている数値
- 必要壁量とは、その建物に取って必要な耐力壁の量(長さ)となります。
- 耐力壁は、筋交い・構造用合板となり規定の数値が設定されています。

2019/12/29 更新
平家、2階建てと分かれていますが、こちらは分かりやすいですね。
軽い屋根、重い屋根と種類はありますが、下記のようになります。
- 軽い屋根:金属屋根(ガルバニウムなど)、スレート葺き(コロニアルなど)など
- 重い屋根:瓦葺き屋根、土蔵造など
表を見ると、軽い屋根の方が数値が低く、重い屋根の方が数値が高いことが分かります。
つまり建物の重さが軽ければ地震力は小さくなり、建物の重さが大きければ、地震力も大きくなります。
これは構造計算でも共通の考え方ですが、地震力は建物の重量に比例するということが言えます。
その事を考えると、1階の方が2階より数値が大きくなるのは当然ですね。1階は2階の重量を支えているわけですから。
面積の単位はm2となります。そして規定されている数値の単位はcm/m2となります。これを乗じる(面積 × 規定されている数値)と
m2×cm/m2=cm
となり、必要とされる壁の長さが計算できます。
風圧力用の必要壁量
風圧力用の必要壁量の計算も、地震用の必要壁量の計算と同様の考えです。
面積に規定されている数値を乗じる事で計算できます。ただ地震用とは違う所は、面積が床面積ではなく、見付面積(受風面積)となります。
風圧用の必要壁量=見付面積(受風面積)×規定されている数値
見付け面積とは、風を受ける外壁部分と屋根の面積となります。

具体的にいうと、下図のようになります。


この時は、角階の床面から1.35mを除いた部分を見付け面積とします。
この風圧力用の必要壁量の計算の単位についても地震用と同じとなります。
規定されている数値は、特に指定が無い限り50cm/m2となります。
風荷重はX、Y方向の見付面積で大きい方の見付け面積を用いて計算します。

必要壁量を計算してみよう!


上図のように各階の床面積と見付け面積があります。屋根は軽い屋根として必要壁量を計算してください。
地震用の必要壁量
1階床面積 50m2×規定された数値(軽い屋根 2階建て 1階)29cm/m2=1450cm
2階床面積 50m2×規定された数値(軽い屋根 2階建て 2階)15cm/m2=750cm
風圧力用の必要壁量
1階見付面積 30m2×規定された数値 50cm/m2=1500cm
2階見付面積 15m2×規定された数値 50cm/m2=750cm
結果
1階 地震用の必要壁量 | 1450cm |
---|---|
2階 地震用の必要壁量 | 750cm |
1階 風圧力用の必要壁量 | 1500cm |
2階 風圧力用の必要壁量 | 750cm |
この結果から地震用、風圧力用の必要壁量の両方で検討をする必要はありません。地震用、風圧力用のどちらか大きい方の数値で検討すればOKです。
つまり、
- 1階 風圧力用の必要壁量 1500cm
- 2階 地震用または風圧力用の必要壁量 750cm
上記の数値で必要な壁量を計算すればOKです。
必要壁量計算の注意点
必要壁量の計算の前提として
- 耐力壁は接合部より先に壁、または筋交いで壊れる事
- 床がしっかりと剛い事
- 雪による積雪荷重が考慮されていない
この上記2点が大切になってきます。
まず①ですが、耐力壁に生じる力に対して、柱梁の接合部や筋交とフレームの接合部が先に壊れると規定されている耐力壁自身の力が発揮されないからです。
耐力壁で規定されている数値を確保するには、耐力壁周囲の接合部をしっかりと強度を持ったものを選定する必要があります。
②については、大きな吹抜けがあったり床が弱かったりすると、地震や風の力に建物全体で抵抗できなくなります。
そうすると壁量計算の考えとして建物全体で検討している(耐力壁を足し算する)前提が崩れていきます。だから壁量計算をする時は、床をしっかりと剛いモノを使うようにしましょう。
③については、特に雪が多い地域(多雪地域)については雪の重さが地震や風の力をさらに強くします。多雪地域で壁量計算をする時は、積雪を考慮した壁量計算をする必要があります。
「誰でもわかる壁量計算① 必要壁量の計算」まとめ
地震用の必要壁量=床面積×規定されている数値

風圧用の必要壁量=見付面積(受風面積)×規定されている数値

壁量計算の注意点
- 耐力壁は接合部より先に壁、または筋交いで壊れる事
- 床がしっかりと剛い事
- 雪による積雪荷重が考慮されていない
続きの「誰でもわかる壁量計算②」について読みたいあなたは、こちらをお読みください。
