こんにちは、ワンワンです。
色んなハウスメーカー、工務店、設計事務所が設計する家があります。住宅だと木造の場合はべた基礎、軽量鉄骨造であれば布基礎が多いです。
このべた基礎、布基礎について知りたいあなたは、こちらの記事をお読みください。
ワンワンも色んなハウスメーカーのHPをチェックしています。やはり家を建てようと思うと自然と色々と調べますよね。
その中で三井ホームの「超剛性」という言葉について気になりました。
剛性という言葉よく使います。特に構造設計業界では剛性はかなり気を使って計算していますので。
ただ「超剛性」って言う人は聞いた事がありません。超剛性というからには相当剛性が高いのかなと。
あまりにも気になったので、今回は三井ホームの超剛性ベタ基礎について解説していきます。
この記事では、
- 三井ホームのベタ基礎 マットスラブについて
一級建築士で構造設計を生業としているワンワンが解説していきます。
(※画像は三井ホームのベタ基礎ではありません。参考画像となります。)
この記事の目次
剛性とは?
物体に力を加えた時には下図のように変形をします。

この時の変形に対する性質(変形のしにくさ)を剛性と言います。漢字で「剛性」と書くので剛い性質について意味をなしているのがわかりますね。
この剛性の数値が高ければ高いほど、物体の変形に対しての性質は強い(変形量が小さい)となります。
逆に剛性の数値が低い場合は、物体の変形に対しての性質は低い(変形量が大きい)となります。
この剛性には種類があって、
- 軸剛性
- 曲げ剛性
- せん断剛性
- ねじれ剛性
の4種類があります。ここでは建築で一番影響の大きい曲げ剛性が重要となってきます。曲げ剛性とは、物体を曲げようする力に対しての変形についての性質となります。
今回の「超剛性」という言葉は曲げ剛性がとても強いので基礎が変形しにくい(変形量が小さい)という事を言っています。
構造設計業界では剛性が強いと言いますが、「超剛性」とは言わないです。
三井ホームの基礎とは?

(※画像は三井ホームのベタ基礎ではありません。参考画像です。)
三井ホームの基礎はベタ基礎となります。
ベタ基礎は別名でマットスラブと呼びます。三井ホームのHPでもベタ基礎、マットスラブと表記がありますが、同じ事です。
ベタ基礎は、基礎部分に板状コンクリートを打って基礎全面で建物の重さを基礎、そして地盤へと伝えています。
そんな三井ホームのベタ基礎の特徴は、
- コンクリート強度 Fc=24N/mm²
- 鉄筋量は通常の約2.67倍
- べた基礎設計はFEM解析によって鉄筋量を設計
コンクリート強度 Fc=24N/mm²
コンクリートは強度を設定します。基本的に住宅であれば、21N/mm²、24N/mm²という数値を設定します。
これはどういう意味かというと、1mm²の面積に対して21N(約2.14kg)の圧縮強度(圧縮力に耐えれる強度)という事です。
これを1cm²の面積にすると、2100N(約214kg)の圧縮強度となります。
コンクリート強度 Fc=24N/mm²はハウスメーカーの中でもトップクラスの高い強度となっています。
鉄筋量は通常の約2,67倍
コンクリートの中には鉄筋があり、コンクリートを打つ前に鉄筋を配筋します。
鉄筋量がどの鉄筋量と比較しているかどうかはわかりません。(三井ホームのHPにどの鉄筋量と比較してとは無かったので。)
ただ、写真で鉄筋の配筋を見ると細かく配筋されているのが確認できたので、鉄筋を密に入れている事がわかります。
他社との比較についても三井ホームの基礎鉄筋量が正確に分からないので、なんとも言えません。情報を得次第、更新していきます。
べた基礎設計はFEM解析によって鉄筋量を設計
ベタ基礎設計はFEM解析という有限要素法という数値解析ソフトを使って解析しています。
これは細かく詳細に計算できるソフトなので、大きな力がかかる所は配筋量を多くして、小さな力の場合は配筋量を少なくして効率よく、かつコストを抑えた鉄筋の配筋を設計しています。
このFEM解析は他社のハウスメーカーでも行われているので、この解析をしているから優れているとかはないです。
三井ホームのベタ基礎 「超剛性」についての見解

ここからはワンワンの個人的な見解となります。三井ホームのHPで分かった情報を元に考えた見解です。
まず剛性を高くする要素は2点となります。
- コンクリート強度は24N/mm²という点はヤング係数Eという数値が高くなります。これが剛性を高くなります。
- 次に鉄筋量ですが、こちらも鉄筋量が増える事で断面2次モーメントIという数値が高くなるので、剛性を高くなります。
この2点がべた基礎の剛性を高くする要素となりますが、これが「超剛性」という言葉が適しているかというと「超剛性」とは言わないではないかというのがワンワンの見解です。
理由としては、
- コンクリート強度を21N/mm²から24N/mm²にあげても、剛性に影響するヤング係数の上昇は小さい。
- 鉄筋量を上げる事は剛性を高くするがその影響は小さいです。コンクリートの厚みを大きくした方が剛性が高くなる。
- 基礎梁の高さを上げる、基礎梁を細かく配置するという方が基礎の剛性を上げる。
- 剛性を高くするということは、基礎の沈下に対して配慮していると思います。それなら地盤改良した方が沈下に対しては有効なのでは。
という4点がワンワンの個人的な見解となります。
おそらく三井ホームのベタ基礎は他社よりも剛性が優れていると思いますが、「超剛性」といえるぐらいに剛性が高くなっているかというと疑問点は湧きます。
もう一つは「超剛性」というのは何を基準に「超剛性」としているのでしょうか。その客観的なデータも基準もないのに「超剛性」っていうのはちょっと言い過ぎかと思います。
「三井ホームのベタ基礎 「マットスラブ」の超剛性とは?」まとめ
三井ホームのベタ基礎の特徴
- コンクリート強度 Fc=24N/mm²
- 鉄筋量は通常の約2.67倍
- べた基礎設計はFEM解析によって鉄筋量を設計
ワンワンの見解
他社のハウスメーカーより優れているべた基礎だと思うが、「超剛性」という言葉には疑問を感じる。
べた基礎、布基礎について知りたいあなたは、こちらの記事をお読みください。
