こんにちは、ワンワンです。
色んなハウスメーカーがある中で、特に木造で特化しているのが住友林業ですね。自社で山を持って下流から上流までの工程を事業としています。
それにプラスして国内だけでなく、海外でも製造、住宅・不動産事業を展開しているとても大きな企業です。
そんな住友林業の家は人気あります。デザインは落ち着いた感じですが、シンプルながらもアクセントが効いたデザインとなっています。
ワンワンも個人的には好きなデザインですね。ただお値段は高めにはなってきますが。。。
そんな住友林業の家の構造体はビックフレーム構法とマルチバランス構法があります。今回はビックフレーム構法について話していきます。
この記事では、
- 住友林業のビックフレーム構法
について、一級建築士のワンワンが解説していきます。
この記事の目次
ビックフレーム構法の利点

ビックフレーム構法は住友林業が開発した独自の構法となります。この構法の特徴として
- 梁勝ラーメン構造
- 通し柱にする必要はないためプランの自由度が高い
- 大開口が取れる
となります。やはり視覚的な特徴としてはラーメン構造による大きな開口が取れる事とそれを支える幅広い柱です。
では特徴を詳細まで見ていきましょう。
梁勝ラーメン構造で地震に強い

このビックフレーム構法は日本初の「木質梁勝ちラーメン構造」となります。
ここで大切なのは「木造」でという事です。実は鉄骨造、鉄筋コンクリート造では一般的にある構法となっています。
木造ラーメン構法も一般的にありますが、基本的には柱勝となります。梁勝のラーメン構法というのは住友林業のビックフレーム構法しかありません。
そこは住友林業の開発力がすごいという事ですね。
ラーメン構法と在来構法の違いとしては、
- 在来工法は地震の力を筋交、耐力壁で負担する
- ラーメン構法は地震の力を柱、梁で負担する
まとめると上記のようになります。ラーメン構法は柱梁で地震力を負担するため、柱と梁の接合部が在来工法よりしっかりと接合されていなければいけません。
そこでビックレーム構法では梁の上下に柱を接続する形で、その接合部はボルトとジョイントボックスと言われる箱状の上下ボルトを繋ぐための接合部材があり、強固に柱と梁を繋いでいます。
この部分をメタルタッチ接合と呼ぶとの事です。
構造設計ではメタルタッチは圧縮力と一部の曲げモーメントしか伝えない形の接合ですが、ビックフレーム構法の接合部は引張力も負担できそうな接合部ですね。
ラーメン構造という事で柱には引張力が生じるでしょうから、引張力負担ができるメタルタッチ接合なのかなとワンワンは思ってます。だからこそ強固な柱梁接合部になっているのかなと考えます。

引用:住友林業公式HPより
また3階建ての振動実験(実大建物で)の結果もありますね。
- 震度7を22回(東日本大震災の震度7を2回、阪神淡路大震災の震度7を20回)
- 震度4〜6弱を222回
- 合計246回の地震
上記の地震を建物に加振を与えた実験した結果、構造躯体の耐震性が維持され続けた事が確認できたとの事です。
ビックフレーム構法が繰り返し地震についても強い構法となっていますね。
プランの自由度が高い、大開口が取れる

ラーメン構法は耐力壁を設ける必要はないので、外部に対して大開口が取れます。また柱の位置も自由に設定できる事で柔軟なプラン対応が出来ます。
確か住宅展示場で聞けば、最大で7.1mスパンを飛ばす事が可能との事です。キャンティレバー(バルコニー等の先端に柱が無く宙に浮いた形)は1.8mが可能となります。
あれだけ梁が大きいと可能にはなってきますね。
ビックフレーム構法の柱幅は560mmとかなり幅広い柱となっています。この柱をビックコラムと呼びます。
このビックコラムが在来木造の耐力壁(最高倍率5倍)と比較すると約4倍以上の壁倍率相当22.4相当になるという事です。
これは在来工法の一枚の耐力壁に比べたらかなり大きな力を負担できる事がわかります。
このビックコラムの強さのおかげで、耐力壁の設置枚数が在来工法より少なくする事が可能となり、大空間が取りやすい構造体となっています。
さらにビックコラムを2つ重ねるダブルコラムまであります。このダブルコラムではビックコラムの2倍、44.8の壁倍率相当となります。
このダブルコラムは狭小地の3階建てに活用するとの事です。これだけ大きな壁倍率であれば、狭小地の建物であっても大開口が取れて、プラン自由度が高い建物が設計できますね。
リフォームしやすい

ビックフレーム構法であれば壁はありません。つまりリフォームをするとなった時にはプランを変えれる自由度が高いです。
将来を考えてビックフレーム構法という選択肢は有りかもしれませんね。
ビックフレーム構法の欠点

性能が高いため、コストが高い

ビックフレーム構法が地震に対してとても強い事がわかりました。ただ壁倍率相当22.4はかなりの性能の高さとなります。
性能が高い事は素晴らしいですが、それに対してコストが高くなってきます。
大手ハウスメーカーでは耐震等級3(建築基準法レベルの地震力を1.5倍した地震力)を標準にして設計をしています。
もちろん住友林業の家も耐震等級3をクリアしています。その耐震等級3より余裕のある数値を出している可能性が高いとワンワンは考えています。
それは素晴らしい事ですが、コストと性能との兼ね合いから考えると性能が良すぎるため、無駄にコストを増やしている可能性はあります。
実は耐震等級3は木造の在来構法でも可能ですし、熊本地震では耐震等級3の家は倒壊する事なく持続して家を使えています。
ここで木造在来構法とビックフレーム構法では、同じ耐震等級3の性能を確保出来ていますが、コストという面では木造在来構法の方が安くなります。
あとは家を買う人の予算や考え方によりますが、木造在来構法でコストを抑えて他の所(キッチン、浴室等)にお金を使うという方法もありますね。
かなり大きな家でないとビックフレーム構法の利点を生かせない

ビックフレーム構法の利点として大きな開口が取れる事とプランの自由度が高いという所です。
特に大きなLDKの部屋に柱が出てこないようにできるのは、ビックフレーム構法の利点となります。
しかし、その利点を活かすにはかなり大きな家であるという事が前提となります。
家の平均坪数は35〜40坪、階数は2階建てが多いです。この大きさの家ではそこまで大きなLDKを取る事は難しいので、大きな開口もそこまで必要となりません。
大きな家では十分に活かせれるので、そういう家にはビックフレーム構法をお勧めです。
「住友林業のビックフレーム構法 地震には強い?」まとめ
利点
- 梁勝ラーメン構造で地震に強い
- プランの自由度が高い、大開口が取れる
- リフォームしやすい
欠点
- コストが高い
- 大きい家でないとビックフレーム構法の利点が活かせない