こんにちは、ワンワンです。
家を建てる計画をしていると、「どんな間取りが良いのか、LDKはどこに配置しようか」等、色々悩む事がたくさんあります。
実はワンワンも今は家を建てることを考えていまして、色んなことに悩み中です。でも予算に限界があるので、そのあたりのバランスを見ながらどうしようかと。
「こうしたい、あれしたい」と考えることは金額が増える案ばかりなので、これをなんとかお金をかけずにやれんかと悩んでいます。
そんな中考えているのが2階リビングです。
2階リビングを考えている人もいると思いますが、「2階リビングが正解なのか?それとも1階リビングが良いのか?」と悩みますよね。
ワンワンは2階リビングを持っていけば、色んなメリットがあるし明るい家ができると考えています。あとは耐震設計がしやすいのもありますが。
そんな2階リビングはなぜ1階リビングに対して耐震設計に有利なのか?
そして2階リビングのデメリット、デメリットについて話していきます。
この記事では、
- 2階リビングの耐震設計・メリット、デメリット
について、1級建築士のワンワンが解説していきます。
この記事の目次
2階リビングが耐震設計に有利な理由

この答えは2階の地震力が1階の地震力に比べて小さいからです。
とは言ったものの、地震力ってどうやって計算するの?と疑問が出てきます。まずは地震力の計算方法を説明します。
地震力の計算方法
地震力には公式があります。建築基準法で決まった式です。それが
Qi=Ci×ΣWi
Ci=Z×Rt×Ai×Co
Qi:地震力
ΣWi:建物重さの合計 Z:地域係数 Ai:高さ方向の分布係数(補正係数)
Co:標準せん断力係数(Co=0.20) Ci:地震層せん断力係数
上記の式で地震力を計算します。でも公式はよく分からなに文字だらけとなっています。
ここで重要なのがQi=Ci×ΣWiのΣWi:建物重さの合計です。つまり、地震力は建物重さの合計に比例して大きくなります。
ここで建物重さの合計の説明(2階建て)をします。
2階の建物重さの合計=2階の建物重さ
1階の建物重さの合計=1階の建物重さ+2階の建物重さ
ここで例です。
2階の建物重さを10t、1階の建物重さを15tとします。(tはトン単位)そうすると
2階の建物重さの合計=10t
1階の建物重さの合計=15t+10t=25t
2階の建物重さの合計は1階の建物重さの合計より小さいですね。
Ciという係数は2階と1階で比べると2階の方が大きくなります。ここで仮に2階のCiを0.250、1階のCiを0.200とします。(ここでCiは経験則で出しています。ちなみに耐震等級1です。)
2階の地震力 Qi=0.250×10t=2.5t
1階の地震力 Qi=0.200×25t=5.0t
2階の地震力の方が1階の地震力と比べて小さくなる事がわかりましたよね。
ここで結論としては、「Ciという係数がありますが、基本的に建物重さの合計に比例するという事が言えます。2階の地震力の方が小さいので、2階の地震力<1階の地震力と言えます。」
じゃあ、2階の屋根に太陽光をつけたら1階より重くなるんじゃないかという心配をされているあなた、太陽光の重さはそこまで重くないのでこの関係(2階の地震力<1階の地震力)は変わりません。
結局、2階を重くしても1階の建物重さの負担も大きくなるので、2階の地震力<1階の地震力という関係は変わりません。
2階の地震力が小さいというメリット

2階の地震力が小さいメリットとしては、耐力壁枚数を少なくしても大丈夫という事です。
これを計算で確認していきます。
木造の耐力壁には壁倍率があります。これを仮に3倍とします。3倍の時の耐力壁の強さは、約0.6t/mとなります。(これは耐力壁長さ1mあたり0.6tの地震力を負担できるという事です。)
では1階、2階でどのくらいの耐力壁が必要か計算していきましょう。
2階の必要耐力壁
2階の地震力 Qi=2.5t
必要耐力壁長さ=2.5t/(0.6t/m)=4.16m
1階の必要耐力壁
1階の地震力 Qi=5.0t
必要耐力壁長さ=5.0/(0.6t/m)=8.30m
ここで必要耐力壁長さが2階4.16m、1階8.30mと出ましたね。つまり、2階に配置しなければいけない耐力壁は1階に比べると少ないわけです。
木造住宅のモジュール(基準長さ)は0.91mです。この長さを耐力壁(壁倍率3倍)1枚とします。
2階の耐力壁枚数 4.16m/0.91m=4.58枚 → 5枚
1階の耐力壁枚数 8.30m/0.91m=9.13枚 → 10枚
耐力壁枚数が2階5枚、1階10枚と2倍の差が出てきました。これだけ2階に設けなければ耐力壁枚数は1階に比べて少なくなります。
つまり、リビングという大きく、開放性のある間取りを取るには、耐力壁枚数が多い1階リビングより耐力壁枚数が少ない2階リビングの方が大きな間取りが取りやすくなります。
そして1階は子供部屋、寝室などの壁がいる部屋を設けるので、耐力壁を設置できる箇所が2階より多くできます。まとめると、
- 2階リビングは大きく開放性のある間取りで、かつ、耐力壁枚数を少なくできる
- 1階は寝室、子供部屋等の耐力壁を多く設けやすい間取りとなる
2階リビングはものすごく耐震設計としては理にかなって有利になります。
2階リビングの耐震についてのデメリット

耐震についてのデメリットはありません。
ただ注意点はあります。
- 2階リビングで、風呂、洗面室を設けると耐力壁配置が偏る可能性が高いので、耐力壁配置のバランスに注意をする必要がある。
- 2階にリビングをかなり大きく取る場合は、リビングの中に耐力壁を設けなければいけない可能性が出てくる。
- 狭小地で細長いリビングの場合で、リビングとバルコニーの境の外壁部分は耐力壁を設ける必要が出てくる。そのため、全て窓にすることはできない。
上記の注意点は構造設計で対処できますし、難しくて注意点を解消できない場合でも代案によってより素敵な家になることもあります。
基本的に家の設計では、構造設計(壁量計算やN値計算ではありません。)を行っている設計事務所、工務店に依頼することをオススメします。
その他もデメリットはありますが、耐震ではなく断熱や間取り等の問題が出てきます。
「2階リビングはなぜ耐震設計に有利なのか?・メリット・デメリットは?」まとめ
2階リビングが耐震設計に有利な理由
- 2階の地震力が1階の地震力に比べて小さい
- 2階の地震力が小さいメリットとしては、耐力壁枚数を少なくできる
- 2階リビングは大きく開放性のある間取りで、かつ、耐力壁枚数を少なくできる
- 1階は寝室、子供部屋等の耐力壁を多く設けやすい間取りとなる
- 耐震についてのデメリットは特に無し(注意点はある)