こんにちは、ワンワンです。
一条工務店といえば、工務店と名がつく会社では大きな会社となります。戸建て住宅を中心に事業展開していますが、実はマンションもディベロッパーとして販売しています。
そんな一条工務店の家といえば、「性能の高い家」ですね。HPにも「家は、性能。」と大きな文字で書かれています。
一条工務店の家の性能は、他社より優れている所があります。
- 全館床暖房
- 外断熱+内断熱
- 家の気密性能が高い
- 窓はトリプル樹脂サッシ
と断熱と設備の性能は高いですが、お値段は大手ハウスメーカー並みの坪単価でおさまっています。
この性能を大手ハウスメーカーで実現したら、とんでもない価格になっていそうですね。
一条工務店では商品を絞って自社工場での生産によりコストを下げています。
そんな一条工務店の家の耐震性能はどうでしょうか。木造でツインモノコック構造という名称の構造となっています。
この構造について話していきます。
この記事では、
- 一条工務店のツインモノコック構造
について、構造設計1級建築士のワンワンが解説していきます。
この記事の目次
ツインモノコック構造とは?
一条工務店の構造は木造のツインモノコック構造です。
この言葉を初めて聞きました。モノコック構造は他社でも聞く名前ですが、「ツイン」ってどこがツインなのかと心の中でツッコンでしまいました。
一条工務店のHPを見ているとおそらくモノコック構造との差異は見受けれませんでした。
モノコック構造について知りたいあなたは、こちらをお読みください。

では特徴を見ていきましょう。
力を面で受けるので、耐震性に優れている。
ツインモノコック構造の壁4面、床2面が構造用合板で固めています。この合板で地震や風の水平力を床、壁に分散して抵抗しています。そして水平方向の変形量を小さくしています。
木造軸組構造の筋交では、筋交接合部に点で力が集中するので水平方向の変形量が大きくなります。
という内容を一条工務店のHPに書かれていました。
ツインモノコック構造の説明は問題ありませんが、木造軸組構造の説明が少し悪く書いているなあというのが印象です。
ワンワンも木造軸組構造の構造設計をした事があるので、その経験から言わしてもらうと木造軸組構造の床は構造用合板24mm以上を使うのが主流です。(おそらくほとんどが構造用合板24mm以上を使っていると思います。)
また、外壁や内壁にも構造用合板9mm以上が使用されていることが多いです。木造軸組構造なので、筋交+構造用合板という組み合わせの場合もあります。
そう考えると今の木造軸組構造についてもモノコック構造と同じような形に近づいていってます。全く同じとは言いませんが。
一条工務店のHPにある木造軸組構造の絵と説明は、筋交のみで床の構造用合板も入っていないのは、昔の木造軸組構造を対象としているのかなと。
今の木造軸組構造の家では、あの絵のような構造体の家は建てていないと思います。
耐震壁の壁倍率5倍
ツインモノコック構造では、耐震壁の壁倍率が建築基準法上の上限値5倍も使用しているとのことです。
これは木造軸組構造でも同じ壁倍率上限5倍です。
一般的な住宅の壁(筋交のみ)の壁倍率2倍も使用することはありますが、壁倍率5倍の壁も使用することがあります。
細かくいえば、壁倍率上限5倍は壁量計算、N値計算をする4号建築物(小さな建物)のみに適用されます。
許容応力度計算をすれば壁倍率上限は7倍、令46条2項ルートの計算をすればさらに大きな壁倍率の耐力壁を使用できます。
この壁倍率5倍というのは特別な事ではありません。
耐力壁をバランス良く配置するのは、今の家の設計では皆やっている事です。このバランスを規定する数値の厳しさは異なるかもしれません。
この耐力壁のバランスが取れているかどうかは偏心率という数値で判断しています。この数値が、
- 4号建築物であれば偏心率0.30以内
- 許容応力度計算をする場合は偏心率0.15以内
と決まっています。偏心率は小さい方(0.15)が厳しいです。
一条工務店では厳しい数値(偏心率0.15)を使って耐力壁のバランスを検討しているかもしれませんね。
床、天井が強固
ツインモノコック構造では1階、2階の天井に構造用合板を採用して、水平方向の剛性(剛さ)を高めています。
ここはツインモノコック構造の方が木造軸組構造より優れている可能性が高い所です。
木造軸組構造の場合(2階建て)は1階天井に構造用合板を採用しますが、2階の天井には火打梁のみを配置する場合が多いです。
構造用合板と比較すると火打梁の水平剛性は劣ります。
2階天井を木造軸組構造でも構造用合板を採用することは可能です。
水平方向の剛性について大事ですが、
- 耐力壁のバランス配置
- 耐力壁間の距離
も大切な要素となってきます。
壁、床、天井の構造用合板に打つ釘を細かく打つ
ツインモノコック構造では、構造用合板に打つ釘本数を増やして、かつ、釘を長くしているので強固なものとしています。
構造用合板の性能は釘ピッチや長さが重要な要素となります。壁倍率を確保されているため、釘ピッチ、長さ等が規定されています。
ツインモノコック構造では基準に対して釘を強くしているので、耐力壁の性能では木造軸組構造より優れていると思います。
ただ、木造軸組構造の構造用合板の釘がダメという事ではありません。これは実験によって確認された強度と釘、構造用合板の仕様ですので問題ありません。
設計のクライテリア(目標値)
一条工務店では耐震等級3(建築基準法で定められた地震力の1.5倍に対して建物が損傷しない)を基本としています。
それにプラスして、この基準(耐震等級3)を超える自社基準を設定して研究開発を行っているので、耐震等級3以上の家になっています。
かなり耐震性能の高い家になっていると思います。(自社基準というものがどの程度か分からないので、推測となります。)
これは木造軸組構造との比較ではなく、ハウスメーカー、工務店、設計事務所との比較になります。「それぞれの会社でどのように考えて設計をしているのか」という点をしっかりと理科して比較してい事が大切です。
「一条工務店のツインモノコック構造は木造軸組構造と比べて強いのか?」まとめ
一条工務店の構造の特徴
- ツインモノコック構造
- 力を面で受けるので、耐震性に優れている
- 耐震壁の壁倍率5倍
- 床、天井が強固
- 壁、床、天井の構造用合板に打つ釘を細かく打つ
- 設計のクライテリア(目標値)
「床、天井が強固」「壁、床、天井の構造用合板に打つ釘を細かく打つ」という2点については木造軸組構造より優れていると考えます。
一条工務店の設計基準や耐力壁の性能は優れたものだと思います。ただツインモノコックのツインの意味が分からないのと木造軸組構造との比較で若干性能を落としすぎのようには感じました。
住友林業のビックフレーム構法について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
