こんにちは、ワンワンです。
家を建てようと考えている時に、様々な工務店・ハウスメーカー・設計事務所のHPをチェックすることが多いと思います。
その時に会社のウリとして、「SE構法」という名前のものを見ることがあります。
- このSE構法とはなんでしょうか?
- そのSE構法は他の構法とどのように違うのでしょうか?
- SE構法は地震に対して強いのか?
等の疑問が湧いてきませんか。
今回はそのSE構法について話していきます。
SE構法は大きく見れば木造軸組構法の一種となります。ここでは木造軸組構法をSE構法以外の一般的な在来工法という意味で使用しています。
今回の記事は2部構成とします。
- パート①ではSE構法の中身
- パート②ではSE構法と木造軸組構法との比較やワンワンの見解
今回はパート①のSE構法の中身となります。
この記事では、
- SE構法の中身
について、構造設計1級建築士のワンワンが解説していきます。
SE構法とは?
SE構法は株式会社エヌ・シー・エヌが開発した木造の構法となります。
特徴としては、
- 優れた耐震性能
- 自由度の高い空間
という2点となります。構造がしっかりしているから、自由度の高い空間が設計できるんだという事です。
優れた耐震性能
まずはSE構法の根本となる耐震性能についてです。
特徴としては、
- 全ての部材は構造用集成材を使用
- 柱、梁の接合部の断面欠損が小さい
- 柱の引き抜き強度が強い
- 耐力壁が木造軸組構法より3倍強い
- 構造計算をしている
- 精度の高い指定プレカット工場で加工
となります。この中身を一つ一つ見ていきましょう。
全ての部材は構造用集成材を使用
集成材とは、木材を小さくした木材を張り合わせて柱や梁とする部材です。張り合わせは接着剤となります。
この構造用集成材は、製材(ヒノキ等)より強度性能が優れているという良さがあります。また強度の選定バリエーションがあるのも利点です。
ただ、価格は製材より高くなります。
SE構法ではこの集成材を全ての部材に使用するので、製材で作られた家より強いという事です。
柱、梁の接合部の断面欠損が小さい
この柱、梁の接合部の断面欠損が小さいというのは、SE構法で使用する接合部用の金物を使う事で断面欠損を小さくしています。
木造軸組構法の柱、梁接合部は、ほぞや蟻掛けという接合方法によって柱、梁に大きな断面欠損が生じます。そうすると欠損部分については弱くなります。
それと比較してSE構法で使用する接合部用の金物であれば、接合部の欠損を小さくする事で木造軸組構法の弱点を小さくしています。(断面欠損は0になるわけではありません。)
柱の引き抜き強度が強い
地震が起きると、柱に大きな引張力が生じます。その大きな引張力に耐えるようにアンカーボルトというボルトを基礎に緊結しています。
その引張力に耐えれるアンカーボルトの強度が最大で24.4tのものを用意しているとのことです。これが木造軸組構法の5倍以上の強さがあるとの事です。
それだけ強度の高いアンカーボルトもあるので、幅広い対応ができるということですね。
耐力壁が木造軸組構法より3倍強い
SE構法では強い耐力壁を使用することができます。その強さが木造軸組広報より3.5倍強いということです。
つまり耐力壁の枚数を少なくすることが可能です。これでプランで邪魔な壁を取ることもできる可能性が高くなります。
構造計算をしている
木造2階建ての家であると、構造計算をされていないことが多いです。これは建築基準法で決めれらている4号建築物というものに該当して、構造計算が求められていません。
壁量計算とN値計算はしていますが、それは簡易な構造チェックであって構造計算ではありませんので注意してください。
SE構法では、全ての建物で構造計算を行っています。
壁量計算、N値計算より構造計算をしたほうがより精細に確認ができますので、より安全な家になります。
精度の高い指定プレカット工場で加工
プレカットとは、工場で木材を加工することです。SE構法は柱と梁の接合部に特殊な金物を使うので、それに適合した加工をする必要があります。
そのプレカットを指定した工場で高精度で加工して、現場に部材を搬入しています。
自由度の高い空間
耐震性能が高いからこそ自由度の高い空間を作ることが可能となっています。
- 大空間
- 大開口
- 吹抜け
- ビルトインガレージ
が可能となっています。
この上記について共通することは、(木造軸組構法と比較して)
- 大きな吹抜けを設けることができる
- 長いスパンを飛ばすことができる
という点です。
このような悩みを持っている人には良いですね。
- 大きな吹抜けを作りたい
- 柱が邪魔で取りたい
- バルコニー 側の窓に壁を入れたくない
このお悩みをSE構法であれば解決できます。
これはSE構法のラーメン構造と床に構造用合板を使用することで解決しています。
ラーメン構法とは柱と梁だけで構成されるフレームとなります。つまり耐力壁無しで地震や風に対して抵抗できるフレームとなります。
ラーメン構造と床に構造用合板を使用することで、長いスパンと大きな吹抜けを可能としています。
SE構法の家を実際に見に行きました!
ワンワンはSE構法で作られた家を見にいきました。それは構造見学会ではなく、すでに完成した住宅見学会となります。
2階建ての家でSE構法です。特徴としては2階リビングにして勾配天井をしていました。ラーメン構造は使用せずに、耐力壁を使用したSE構法でした。
SE構法は何もラーメン構法を使用した家だけではありません。耐力壁を使用したSE構法もあります。
色々聞いてみると
- SE構法にしたから勾配天井ができる
- 全ての柱が120角の集成材
- 費用はざっくりだが200〜300万は高くなる(延坪が約35坪として)
やはり全ての部材を集成材として、柱を120角(木造軸組構法だと基本105角の柱を使用)となるので、費用は結構上がるという印象でした。
SE構法の価格はあくまで参考程度に聞いた価格です。規模やプラン、工務店によっても価格が違ってきますので、SE構法を使用したいと考えているあなたは、しっかりと価格を確認してください。
坪単価あたりで言うと、5.7万/坪〜8.6万/坪くらいは家の価格が上がります。
全ての部材が集成材、かつ、柱が全て120角なので耐震性能の強い家にはなっているかなと思いましたが、2階建てで柱120角はかなりの余裕があるので、少し不経済な設計になっているのかなという印象です。
ちなみに勾配天井はSE構法でなくてもできます。
「家の構造 耐震構法のSE構法とは? パート①」まとめ
SE構法の特徴
優れた耐震性能
- 全ての部材は構造用集成材を使用
- 柱、梁の接合部の断面欠損が小さい
- 柱の引き抜き強度が強い
- 耐力壁が木造軸組構法より3倍強い
- 構造計算をしている
- 精度の高い指定プレカット工場で加工
自由度の高い空間
- 大空間
- 大開口
- 吹抜け
- ビルトインガレージ
SE構法の第2弾の記事(木造軸組構法との比較と見解)について読みたいあなたは、こちらをお読みください。
