家づくり

家の構造 耐震構法のSE構法とは? パート②

こんにちは、ワンワンです。

SE構法の第2弾ということで、SE構法と木造軸組構法の比較とワンワンの見解について話していきます。

SE構法は大きく見れば木造軸組構法の一種となります。ここでは木造軸組構法をSE構法以外の一般的な在来工法という意味で使用しています。

この記事では、

  • SE構法と木造軸組構法の比較とワンワンの見解

について、構造設計1級建築士のワンワンが解説していきます。

ワンワン
ワンワン
色々とSE構法について調べましたが、構造設計を知らない人の説明が多いと感じました。今回は構造設計をしている人間から見たSE構法とはどんなものかを感じてもらえたらと思っています。

SE構法と木造軸組構法の比較

まずはS E構法の特徴とする優れた耐震性能についての比較をしていきます。

SE構法の第1弾を読まれていないあなたは、こちらをお読みください。

家の構造 耐震構法のSE構法とは? パート①こんにちは、ワンワンです。 家を建てようと考えている時に、様々な工務店・ハウスメーカー・設計事務所のHPをチェックすることが多いと...

「全ての部材が構造集成材」について

SE構法は全ての部材が構造集成材を使っています。

では木造軸組構法はと言うと、基本的に製材(ヒノキ、ベイマツ等)を使っています。そして梁が計算で厳しいところは一部集成材を使っていることが多いです。

製材は無等級材というJAS(日本農林規格)以外の材料となります。価格は安いですが、強度のばらつきが大きいので注意が必要です。

無等級材で設計する場合は、柱、梁共に余裕を持ったサイズに設計することが大切です。

集成材はJAS(日本農林規格)規格となり、価格は高くなります。しかし、様々な決まりがあり、それをクリアしていないとJAS規格の集成材として使えません。そのため、強度のばらつきもある一定の範囲内になるように決められています。

とここまで聞くとSE構法の方が優れていると感じますが、そんなことはありません。

木造軸組構法でも全ての部材を構造集成材を使用することができます。

家を建てる依頼する工務店、設計事務所に構造集成材を使いたいといえば、対応してくれると思います。予算との兼ね合いが大切ですね。

基本的に予算があれば、構造集成材を使用した家が建てれます。

ただ予算が無いのに、構造集成材を全ての柱梁に使うことをオススメしません。必要なところに一部、構造集成材を使ってうまくコストコントロールしましょう。

「柱と梁の断面欠損が小さい」について

SE構法では、SE構法専用の金物を使う事で柱と梁の接合部による断面欠損を小さくしています。

木造軸組構法では柱と梁の接合部にほぞ、蟻掛け等の大きく欠損させる接合方式を採用していることが多いです。やはりコストが安いですからね。

しかし、木造軸組構法にもSE構法専用の金物と似た金物を使うことが可能です。

  • タナカ SSマルチ工法
  • BXカネシン プレセッターSU
  • タツミ テックワン
  • カナイ スクリュービーム

上記のメーカー製品を使えば、SE構法と変わらない接合部とすることができ、柱と梁の接合部の断面欠損を小さくすることができます。

「柱の引き抜き強度が高い」について

SE構法の柱脚の最大引き抜き体力が24.4tとあります。

木造軸組構法で使うホールダウン金物は約6tぐらいが最大の引き抜き耐力になります。この金物を使えば約12tほどの引き抜き耐力になります。

引き抜き耐力24.4tという数値の柱脚を作ることは難しいと思います。この点はSE構法が優れていますね。

ただ、家ということで限定するとそんな高い引き抜き耐力(24.4t)の柱脚を使うことは無いと思います。

基本的に2階建てであれば、引き抜き耐力は6tもあれば十分かなと思います。足りなければホールダウン金物を2本使えば十分に対応できます。

そう考えるとSE構法でコストだけが高くなって不経済設計となる引き抜き耐力(24.4t)の金物は住宅レベルで使用する可能性は小さいと思います。

基本的に必要な引き抜き力に対して対応できる柱脚金物を使用していますので、木造軸組構法でもSE構法でもそんなに差はないかと思います。

「耐力壁」について

SE構法の耐力壁は木造軸組構法の筋交(45×90 片側)の3.5倍の強さがあります。

ただし比較対象が筋交(45×90 片側)の壁倍率2と比較しているんですね。この辺りは一条工務店もそうですけど、木造軸組構法の中で低めの壁倍率となっています。

構造計算(許容応力度計算)をすれば、木造軸組構法の筋交と構造用合板両面で壁倍率7倍まで可能となっています。

SE構法の壁倍率は片側で壁倍率7倍(GT4)となっているので、両側に構造用合板を貼れば壁倍率14倍となります。

その値で比較すれば、SE構法は木造軸組構法の耐力壁の壁倍率の2倍の強さと言えます。

またSE構法の耐力壁の壁倍率は3〜7(GT1,GT3,GT3,GT4)まであります。

SE構法の方がより幅広い壁倍率に対応できるので、木造軸組構法より柔軟なプランが可能になります。

ラーメン構造の壁倍率は4から10となっています。

  • 柱120×240 梁せい390mm 壁倍率4
  • 柱120×240 梁せい500mm 壁倍率5
  • 柱120×300 梁せい390mm 壁倍率5
  • 柱120×300 梁せい500mm 壁倍率6.5
  • 柱120×360 梁せい390mm 壁倍率7.7
  • 柱120×360 梁せい500mm 壁倍率10

これを見るとラーメン構造を使用する柱梁は、それなりに大きな部材を使いますね。耐力壁の代わりに柱と梁で地震や風の力を受けるので部材は大きくなります。

基本的にラーメン構造より耐力壁を使用する軸組構法の方が安いですし、耐力壁の壁倍率が取りやすいです。耐力壁が一番効率が良いと言えますね。

SE構法ではラーメン構造が可能ですが、木造軸組構法ではどうでしょうか。

実は木造軸組構法でラーメン構造は出来ます。ただ、ラーメン構造の構造設計が出来る人が少ないのが現状です。

ラーメン構造ができる構造設計者を探すのは大変なので、ラーメン構造をしたい人はSE構法を採用する方が良いかもしれませんね。

「構造計算とプレカット」について

構造計算についてはSE構法は全棟行っています。

それに対して木造軸組構法では基本的に構造計算をされていないことが多いです。木造2階建ての家だと4号建築物に該当するので、構造計算は必要ありません。

木造3階建てであれば構造計算は必要となるので問題なく対応してくれますが、木造2階建ての場合は、希望を出しても構造計算を対応していない所があると思います。

基本的に小さな設計事務所、工務店では構造計算が出来る人がいないので、外注として構造設計事務所に依頼することになります。

また計算内容を確認すると、SE構法はルート2相当の立体解析が出来る構造計算プログラムを使って計算しています。

これは、木造軸組構法の構造計算よりさらに詳細な計算となっています。構造計算プログラムを使って計算しますが、立体解析ではありません。

木造でルート2相当の立体解析による構造計算が出来る構造設計者は少ないので、対応は難しいかと思います。

プレカットについてですが、SE構法では指定プレカット工場によって精度の高い加工をしています。

今の時代、プレカットはデータによって木材を自動加工しています。その加工の精度の差は木造軸組構法とSE構法では差が無いと考えています。

しかし、構造のことを理解して組み方を考えるかどうかはプレカット屋によります。そこを考えるとSE構法で指定のプレカット屋で加工をするというのは一定の品質を保つためには大切なことだと思います。

SE構法の完成見学会に行って感じたこと

これはワンワンがSE構法の完成見学会に行って感じたことですが、住宅であれば特にSE構法にする必要はないかなと感じました。

理由としては、

  • 不経済設計でコストが高い
  • 特にラーメン構造にする必要はない(そんなに広い空間はいらない)
  • 構造設計レベルのバラツキがある

の3点です。

ここからはあくまでワンワンの個人的主観によるものです。

不経済設計でコストが高い

1点目の不経済設計ですが、2階建てで全ての部材を集成材で使用するのはただコストを高くしているだけではと感じました。

正直に言って、柱が全て120角も必要ないですし、梁も全て集成材にする必要がありません。部材に余裕がかなりあるのではと思います。

それなら、構造設計をして本当に必要な箇所に集成材を採用している方がコストを抑えつつ耐震性能がある建物に設計ができます。

もちろん全て集成材で、かつ、柱120角であればさらに耐震性能の高い家になりますが、そこはコストとのバランスが成り立つかどうかかと思います。

予算が無いのに無理してSE構法を採用する必要は無いと思います。

正直に言えば、全ての部材で集成材と柱120角使えたら構造設計は楽ですね。

木造軸組構法だとコストの関係があるので、なるべくコストを抑えつつ耐震性能のある家にしようと工夫をします。

その予算がある中で、最大限に耐震性能のある家を設計するのが構造設計かなとワンワンは思っています。

特にラーメン構造にする必要がない

2階建ての一般的な広さの家(延坪35坪程度)であれば、ラーメン構造にする必要はないのではと思います。

そこまで広いLDKを取るわけでは無いので、十分に木造軸組構法で対応可能です。

狭小地や広いLDKが必要な豪邸などでは、ラーメン構造が良いとは思います。

構造設計レベルのバラツキがある

完成見学会でみたSE構法の家で、ある一つの柱に目がいきました。この柱は取れないのですかと聞いた所、構造上必要だと言われたと聞きました。

ワンワンも図面を見た訳ではないので100%言い切ることはできませんが、私ならこの柱を取れる設計ができるだろうなと思いました。

おそらくSE構法の構造設計者のレベルが低い人が構造設計をしたのではと思います。正直に言って、そんなレベルの人に構造設計してもらうぐらいなら自分でやります。

SE構法の構造設計は、必ずしも良い構造設計者にあたるわけではないという所があります。

「家の構造 耐震構法のSE構法とは? パート②」まとめ

SE構法は優れた耐震性能を持つ構法です。そして、様々なプランに対応できる柔軟さもあります。これは構造設計をしているワンワンも認めます。

そんなSE構法ですが、ある程度は木造軸組構法で同等程度のことはできるかなと思います。ただそれに対応できる構造設計者が少ないという現状があります。

その点でSE構法は、

  • 耐力壁の壁倍率バリエーションの多さ
  • ラーメン構造が選択肢としてある
  • SE構法にすれば耐震性能が高い家がお任せでできる手軽さ

はSE構強みとなります。

SE構法の問題点は、

  • コストが高い
  • 構造設計レベルのバラツキがある

の2点となります。

ワンワン
ワンワン
調べれば調べるほどSE構法は優秀なシステムだと感じます。コストが高くなければ良いのですが、なかなかうまい話はありませんね。またSE構法について話したいことがあるので、そのうちSE構法第3弾を書きたいと思います。

SE構法の第1弾を読まれていないあなたは、こちらをお読みください。

家の構造 耐震構法のSE構法とは? パート①こんにちは、ワンワンです。 家を建てようと考えている時に、様々な工務店・ハウスメーカー・設計事務所のHPをチェックすることが多いと...