こんにちは、ワンワンです。
家を支える地盤は大切なんですが、その地盤が弱い時には地盤改良が必要となります。地盤調査報告書によって地盤改良の要否を判定することになります。
近年は地盤保証というものを付けるので、地盤調査報告書で地盤改良は必要となれば、自ずと地盤改良をしなければいけません。
地盤改良をしなければ保険がつかないので。
地盤改良をするっていうことは費用が追加でかかることになります。その地盤改良が必要な理由は納得できるものでしょうか。
構造の専門家であればすぐにわかって納得する話ですが、建築を知らない人からしたら地盤が弱いからと言われただけで、分からないことが多いと思います。
今回はどういった理由で地盤改良が必要なのか、そして地盤改良をすることでどういった効果があるのか等について話していきます。
この記事では、
- 地盤改良
について、構造設計1級建築士のワンワンが解説していきます。
地盤改良とは?

地盤改良とは、地盤が弱いから地盤の補強をするということです。
では、地盤のどこが弱いから補強を必要とするのでしょうか。それは、
- 地盤の強度が足りていない
- 液状化
- 地盤沈下
の3つの理由となります。
地盤の強度が足りていない
これは言葉そのままの意味となります。
家の重さ(基礎を含む)を支えるほどの強度が出ない地盤であることです。その時には地盤の強度が出るように地盤改良を必要とします。
ただ、家の重さ(基礎を含む)を支えれないという地盤は少ないです。ただ強度不足で地盤改良をする時の理由として、
- 盛土である
- 自沈層がある
となります。盛土とは、あえて地面に土を盛って高くしたりすることです。盛土の上に家を建てると強度不足によって家が傾く恐れがあります。
自沈層とは、スウェーデンサウンディング調査においておもりの重さのみで沈む層となります。簡単に言うと弱い地盤層となります。
自沈層がある地盤に家を建てると強度不足で家を支えることができません。
液状化
液状化は、地震が起きた時に地盤の強度がゼロになって家を支持できなくなります。
よく液状化の写真を見ると道路が沈んだり、マンホールだけ飛び出たりします。それは液状化の影響によって生じる現象となります。
液状化すれば、家の重さ(基礎を含む)を支持できずに傾くことになります。
液状化する地盤の場合は、地盤改良をすることで液状化を防ぎます。(地盤改良をした範囲のみ)
地盤沈下
地盤沈下はそのままの通り、地盤が下がることによって家が傾いていきます。
ここでは、強度不足の所で出た盛土、自沈層がある地盤についても地盤沈下があります。
また、粘性土の層がある場合は、圧密沈下が生じる恐れがあります。この圧密沈下は何年もかけて徐々に沈下していきます。
その他にも地下水を汲み上げたことによって地盤沈下をすることもあります。
地盤改良の種類

そんな地盤の弱点3つを補強するために地盤改良を行います。家に限定ですが、地盤改良には大きく3種類があります。それが、
- 表層改良
- 柱状改良
- 鋼管杭
となります。
どれを選ぶかは、
- 支持層がどの深さの位置にあるか
- 費用
- 個人の好み
の3要素が絡んできます。
柱状改良で提案された場合でも、個人の好みで鋼管杭を採用することも可能です。地盤改良をどれにするかは、設計担当の人と相談して決めてください。
ただし、立地条件や地盤条件によっては個人の好みで地盤改良が選べない場合もあるので、注意してください。
表層改良
表層改良は、名前の通り深さ2〜3m程度をセメント系固化材と土を混ぜて、表層全体を地盤改良します。
この表層改良は、支持地盤(家を支えることが可能な地盤)層が、地面より下の浅い位置にある時に使うことが可能です。
価格も地盤改良の中では安めとなります。
柱状改良
柱状改良は、円柱状の改良体をある程度のピッチで並べることで支持力を確保します。
この補強を使う時は、支持地盤(家を支えることが可能な地盤)層が地面より下の深い位置にある時に採用します。
大体ですが、直径が約600mm、最大で約8mほどの長さの柱状の改良体となります。
費用は浅層改良と鋼管杭の間となります。
鋼管杭
鋼管杭は鉄製の杭を地盤補強に使います。
鋼管杭は柱状改良でも対応できない深い位置にある支持地盤(家を支えることが可能な地盤)層まで伸ばすことが可能となります。
費用はこの3つの中で一番高い費用となります。
近年は、羽付き鋼管杭が基本となっています。土を掘らずに鋼管杭を回転させて鋼管杭を埋め込んでいきます。
羽付き鋼管杭は環境に優しい杭となります。
- 土を掘らずに鋼管杭を設置可能
- 家を壊した後に鋼管杭を引き抜くことが可能
そして鋼管杭をリサイクルすることができます。
六価クロムについて

浅層改良と柱状改良には六価クロムが発生します。六価クロムは簡単に言うと、人間の体に悪い影響を与えるものとなります。
そのため、浅層改良と柱状改良には六価クロムの規制(容出量0.05mg/l)があります。
この対策として六価クロムを抑えるセメント系固化材を使用することで、六価クロムの排出量を規定値以内に抑えます。
ただし、六価クロムをゼロに抑えることは不可能となるので、気になる方は鋼管杭を使用することをオススメします。
「家を支えるための大切な地盤改良とは?」まとめ
地盤改良とは?
地盤改良とは、地盤が弱いから地盤の補強をするということで、地盤の弱点は
- 地盤の強度が足りていない
- 液状化
- 地盤沈下
地盤改良
- 表層改良
- 柱状改良
- 鋼管杭
六価クロム
- 六価クロムは簡単に言うと、人間の体に悪い影響を与えるもの
- 六価クロムの規制(容出量0.05mg/l)
地盤について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
