こんにちは、ワンワンです。
家を建てようとしてハウスメーカー、工務店、設計事務所へ相談に行くと、長期優良住宅を取りますか?と聞かれます。
長期優良住宅とはなんなのか?という疑問がまず沸きます。
そして、次に「長期優良住宅を取ったら何か良いことがあるの? 費用はかかる?」という疑問が出ます。
名前からして長期優良住宅と聞くと良さげですが、「実際には何が良いのか?」とハテナになりますね。
そんな長期優良住宅について話していきます。
長期優良住宅を調べてみると倒壊した動画が出てきました。この動画を見ると「長期優良住宅は危険なのでは?」と思ってしまう人がいると思います。
この点についてもワンワンの見解を話していきます。
この記事では、
- 長期優良住宅
- 長期優良住宅が倒壊した動画
について、1級建築士のワンワンが解説していきます。
この記事の目次
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、長期に渡って良好な家を保ち続けるようにするために様々な規定をクリアした家となります。
- 平成21年6月より新築を対象として長期優良住宅制度を開始
- 平成28年4月より既存住宅の増築、改築まで対象範囲を拡大
新築を対象とした長期優良住宅認定制度というものがあり、その認定をクリアした住宅が長期優良住宅となります。
長期優良住宅にするには大きく4つの条件があります。
- A.長期に使用するための構造及び設備を有していること
- B.居住環境等への配慮を行っていること
- C.一定面積以上の住戸面積を有していること
- D.維持保全の期間、方法を定めていること
この4つの条件をクリアしていることで、長期優良住宅となります。
長期優良住宅は
- 新築する時にある一定の性能を確保すること
- 家に住んでから維持保全をし続けること
が求められている住宅です。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅のメリットは下記となります。
- 地域型住宅グリーン事業(長寿命型)による補助金を受けることができる
- 住宅ローン金利の引き下げが可能
- 住宅ローン減税の限度額の引き上げ
- 地震保険料の割引
(投資型減税は省略します。)
①地域型住宅グリーン事業(長寿命型)による補助金を受けることができる
これは地域の中小工務店等のグループによって建てられる長期優良住宅は、最大で110万円(住戸1戸あたり)の補助金を受けられます。
中小工務店等のグループとは、
- 地域の中小工務店、設計事務所、ハウスメーカー
- 建材流通、製材、プレカット等の住宅生産に係る事業者
と生産から工事までできる事業者が1グループとなります。
ただし、国土交通省に採択を受けたグループとなりますので注意をしてください。
採択を受けたグループに工務店が入っているかどうかは、「地域型住宅グリーン化事業採択グループ紹介・工務店検索」サイトで確認できます。
注意点としては、補助金には枠(予算)があるので全ての長期優良住宅に対して補助金を受けられるわけではありません。
補助金を受けれる可能性があるかどうかは、必ず工務店、設計事務所、ハウスメーカーに確認してください。
また、大手ハウスメーカーや工務店ではこの補助金を使うことができません。
住宅ローン金利の引き下げが可能
フラット35Sのみが対象ですが、35年ローンの中で最初の10年間の金利が年0.25%も引き下げられます。
また、フラット50という50年間のローンを組むことが可能です。このフラット50の特徴は、住宅売却する時にローン残債を購入者に引き継ぐことが可能となります。
所得税(住宅ローン減税)の限度額の引き上げ
住宅ローンを組めば、住宅ローン減税が受けられます。その時の最大限度額が4000万円となっています。
それが長期優良住宅の場合は、最大限度額が5000万円と1000万円増額となります。
住宅ローン減税率は1%となります。
- 4000万円のローン 4000×0.01×10年間=400万円
- 5000万円のローン 5000×0.01×10年間=500万円
と10年間で最大住宅ローン減税額が100万円も上がります。
ただし、住宅ローン減税の対象金額は、
- 住宅ローンの残高
- 住宅の取得金額
の少ない方の金額となるので、最大減税額を受けるのは難しい制度となっています。所得税と住民税の減税を可能としてくれるのは家計に助かります。
地震保険料の割引
この地震保険料の割引は耐震等級によって異なります。
- 耐震等級2 30%の割引
- 耐震等級3 50%の割引
- 免震建築物 50%の割引
長期優良住宅は耐震等級2以上にしなければいけないので、地震保険料の割引を受けることが可能となっています。
割引金額は条件によって異なりますが、年間で2〜3万程度は安くなるのではないでしょうか。(耐震等級3の場合 50%割引)
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅のデメリットは下記となります。
- 建築工期が長くなる、建築費用が高くなる
- 10年ごとに点検が必要
①建築工期が長くなる、建築費用が高くなる
まずは建築費用について話します。
長期優良住宅の申請費用とその作業量に約20〜30万程度がかかります。この費用は設計事務所、工務店、ハウスメーカーによって金額は変わりますので確認が必要です。
次に建築工期が長くなる、家のスペックを上げる(長期優良住宅仕様)ので建築費用は高くなります。
この建築費用については、工務店、ハウスメーカーによって様々です。
長期優良住宅仕様に近いレベルの家を基本としている会社であれば、長期優良住宅にしてもそこまで費用がかかりません。
ただ、ローコスト住宅の場合は色んな部分を安くしているので、長期優良住宅仕様にするには費用が高くなる可能性があります。
10年ごとの点検が必要
長期優良住宅の認定を取った家は、5年、10年というサイクルで家の点検をしなければいけません。
つまり、維持費として家の点検費用がかかってきます。
住宅の保全状況を所管行政庁から求められる場合があります。その時に報告しない、または、虚偽の報告をすると30万円の罰金となります。
最悪は長期優良住宅の認定が取り消されて補助金の返還を求められる場合もあります。
長期優良住宅が倒壊した動画について
YouTubeで長期優良住宅とそうでない住宅(接合部を軽微にした家)の振動実験動画があります。そこで長期優良住宅の家が倒壊して、そうでない住宅は倒壊しない結果となりました。
両方共、木造3階建ての家です。
色々ネットで調べてみると様々な意見がありますので、これに対して間違っているというわけではありません。
あくまでワンワン個人的な意見となります。
社団法人日本木造住宅産業会のコメントを参照してワンワンの見解を話します。
この振動実験で使った地震波は分かりませんが、建築基準法で想定されている地震力の1.8倍で加震した所、倒壊した(約20秒)との事です。
振動実験で使う地震波はおそらく過去におきた地震波を増幅した波を使用していると思います。例えば、関東大震災、阪神淡路大震災等のものに割増した地震です。
建築基準法で想定されている地震力というのは、震度6強クラス(最大加速度300〜400cm/s2)となります。その地震力を割増した地震力を使用と想定します。
長期優良住宅は耐震等級2となります。耐震等級2は建築基準法レベルの1.44倍の耐震性能を保有しています。
長期優良住宅は1.8倍の地震力で倒壊しました。しかし、耐震等級2の建築基準法レベルの1.44倍の耐震性能ですから1.8倍の地震力だと倒壊する可能性が高いのは当たり前ですよね。
そしてもう一つの家(接合部を軽微した住宅)は、10秒で接合部の多くが破断して、基礎から家が外れる可能性も高いとして倒壊と判断したとの事です。
そして、長期優良住宅の方が1〜2割高い耐震性能が高い結果となったとの事です。
長期優良住宅が倒壊した事実に目が行きがちですが、しっかりと地震の条件や比較対象の家(接合部が軽微な家)の損傷状況を見て判断しないと「ただ危ないですね」という実験になってしまいます。
ワンワンの個人的な意見ですが、長期優良住宅の耐震等級2の耐震性能を思っている以上に期待しすぎではないでしょうか。
そして、地震で壊れないようにするには耐震等級3にすることをオススメします。熊本地震でも耐震等級3の家は倒壊することなく軽微な被害でおさまっています。
「誰でもわかる長期優良住宅とは? メリットとデメリット、そして見解」まとめ
長期優良住宅とは
- A.長期に使用するための構造及び設備を有していること
- B.居住環境等への配慮を行っていること
- C.一定面積以上の住戸面積を有していること
- D.維持保全の期間、方法を定めていること
この4つの条件をクリアしていることで、長期優良住宅となります。
長期優良住宅のメリット
- 地域型住宅グリーン事業(長寿命型)による補助金を受けることができる
- 住宅ローン金利の引き下げが可能
- 住宅ローン減税の限度額の引き上げ
- 地震保険料の割引
長期優良住宅のデメリット
- 建築工期が長くなる、建築費用が高くなる
- 10年ごとに点検が必要
長期優良住宅が倒壊した動画について
地震で壊れないようにするには耐震等級3にすることをオススメします。熊本地震でも耐震等級3の家は倒壊することなく軽微な被害でおさまっています。