こんにちは、ワンワンです。
今のご時世、働き方改革法による残業規制・罰則によって大企業は社員の残業時間の管理を厳しくしていかなくてはいけません。そして遅れること1年後には中小企業も働き方改革の残業時間規制・罰則を実施される予定です。
そんな中、建築業界はどのような感じになっているでしょうか。そして1年後の中小企業にも実施される働き方改革はどのようになっていくでしょうか。
残業が少なく、有給も取りやすい会社になれば良いなあと思っている方もいると思いますが、うまく働き方改革が進むでしょうか?
この記事では、
- 働き方改革が建築設計事務所にどのように影響を与えるか
について、数社の設計事務所を渡り歩いたワンワンが解説とこれからの予想をします。
この記事の目次
働き方改革とは?
働き方改革法は大きい所で言うと、
- 残業時間の規制強化・罰則 (大企業は2019年から、中小企業は2020年から適用)
- 有給休暇5日消化義務
- 勤務間インターバル制度の努力義務
- 割増賃金比率の中小企業にも適用 (2023年から適用、大企業はすでに適用済)
- 同一労働同一賃金(大企業は2020年から、中小企業は2021年から適用)
- 高度プロフェッショナル制度
- 3ヶ月フレックス制
- 産業医・産業保健機能の強化
が挙げられます。
そして2019年からは、勤務間インターバル制度の努力義務、有給休暇5日消化義務、高度プロフェッショナル制度、3ヶ月フレックス制、産業医・産業保健機能の強化が全企業に対して施行されています。
残業規制強化・罰則
2019年から、ある程度規模の企業を対象に残業規制強化・罰則が施行しました。
これは36協定をいう残業時間や休日出勤について決まりを作って守りましょうというものです。
決まりとしては、残業45時間、1年間で360時間の残業がOKですよというもの。
去年までは特別条項を出している場合(特別な条件として残業120時間を年6回など)は年に6回まで時間数は特別条項で決められた時間を働かしていいですよ、というものでした。
これでは残業は減りません、当たり前の話ですが。そのため、2019年から特別条項についても上限時間を定めました。
- 残業時間720時間
- 休日労働を含め複数月で80時間、単月で100時間
- 残業45時間を超えるのは年6回まで許容
適用猶予、除外事業があります。それが下記になります。
- 自動車運転の業務
- 建設事業
- 医師
- 鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業
- 新技術、新商品等の研究開発
新技術、新商品等の研究開発に以外は、改正法施行5年後に適用されます。
新技術、新商品等の研究開発については時間外労働の上限規制は適用されません。ただし、医師の面談や代休など健康確保措置を設けることが条件です。
これによって残業時間の厳しい規制となりました。もちろんこの残業時間を守らない場合は罰則、罰金があります。
罰則、罰金は、
- 6ヶ月以下の懲役、または30万円以下となっています。
おそらく残業規制対応がよほど酷い会社では懲役まで罰するという厳しいものとなっています。
そして2020年からは中小企業に対しても施行されます。つまり会社の規模が小さい建築設計事務所でも適用されます。
有給休暇5日消化義務
有給休暇5日間消化義務は、必ず1年に5日の有給を使いなさいよということです。これは特に労働組合を持つ会社では、会社と労働組合で話し合って計画的に有給日を決めることができます。
この有給休暇5日義務を守れない場合、罰則として社員1人あたり30万円の罰金となります。
ちなみにワンワンの会社もそうですし、他の大きな会社も計画的に有給日を決められていました。ちなみにその計画的な有給の日は盆休みです。実は盆休みって休日が土日と祝日の山の日しかないんですね。
去年までなら盆休みを有給消化無しに会社が休みになっていましたが、今年から有給の4日を盆休みに当てられてました。あと1日はどっかの平日に当てられてました。
つまり年間休日は去年と変わりませんが、有給が4日を自動消化されていると会社員にとっては、有給が減るだけの結果となりました。
まあ、労働組合あっても意味がないですからね。よほどの大きな会社、トヨタやNTTみたいな会社じゃないと労働組合は強くないですね。
勤務間インターバル制度の努力義務
1日の勤務終了後から翌日の出社まで一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する努力義務です。
例えば、仕事が23時に終わりました。休息時間を11時間確保しなければいけない決まりがあれば、翌日は10時から出勤とすることができるという休める時間を確保する制度です。
割増賃金比率をの中小企業にも適用
今まで月60時間超えの残業割増賃金比率が
- 大企業の残業割増賃金比率は50%
- 中小企業の残業割増賃金比率は25%
でしたが、これが2023年から
中小企業の残業割増賃金比率は25% → 50%
になります。
同一労働同一賃金
同一企業内において、正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などのあらゆる 待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止ということです。
つまり正社員と非正規社員が同じ仕事をしていれば、給料待遇などを差をつけずに同じにしなさいという決まりです。
ワンワンも初めて働いた設計事務所では非正規社員でした。同じ仕事をしていましたし、正社員よりは仕事をこなしていましたが、給料は低く、ボーナスが出ないという苦痛を味わってました。
この同一労働同一賃金があれば、初めて働いた設計事務所でずっと勤めてたかもしれませんね。辞めた理由は、「1級建築士を取っても正社員になれない、正社員になるには構造設計1級建築士を取れたら」という条件だったので。安い給料でそんなに待ってられないですよね。
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度は、職業が
- 金融関係
- アナリスト
- コンサルタント
- 研究開発業務
の人で、かつ年収1075万円以上の人が対象となります。建築業界で働くほとんどの人が無縁の制度となっています。
上記の条件の人は、休日出勤、深夜残業の賃金割増は適用しませんよという事です。まあ、裁量労働制に似た制度ですね。
3ヶ月フレックス制
産業医・産業保健機能の強化
これは産業医や産業保健機能を強くして、労働者の健康チェック、労働時間のチェックをしっかりとやりますよという制度です。産業医の言うことはしっかりと聞きましょうという事です。
しかし、産業医は労働者数50人以上の規模の企業からとなります。規模の小さい設計事務所では産業医はいませんので、あまり意味ないかもしれませんね。
働き方改革法による建築業界の影響について

元請け企業と下請け企業
働き方改革法の特に残業規制強化・罰則によって大企業のゼネコンや大手設計事務所は、残業時間の規制が強化されて行きます。
つまり元請けとなる会社が残業規制強化により働く時間が少なくなるということです。これは元請け社員の業務量は減らさないといけないので、下請け企業の業務量が増えるという危険性があります。
下請け企業とは規模の小さい企業、設計事務所になります。これはすべての設計事務所に当てはまるわけではありません。ゼネコンや組織設計事務所から仕事をもらっている設計事務所を対象となります。
元請け企業で今まで出来ていた業務ができなくなったので、追加で下請け企業に依頼が行くことが想定されます。そのため、下請け企業の社員は、さらに残業時間や業務量が増えていく傾向になります。
ワンワンも下請けの設計事務所にいたことがあるのでわかりますが、設計変更対応(変更多すぎ)、期限死守(スケジュールに余裕無し)で残業時間は100時間超えるくらいは働いてました。
それがさらに業務量が増えるとなると下請け設計事務所の労働環境は厳しくなるのではというワンワンの予想です。
建築士であれば、裁量労働制になるから残業なんか関係ないよという声もあると思います。ちなみに裁量労働制は簡単に言うと、「働く時間は労働者が決めて働いてね。働く時間が2時間、3時間であっても、15時間、16時間であっても8時間労働(契約した時間)と見なしますよ」というものです。
確かに裁量労働制であれば残業時間は関係ありません。しかし、ワンワンのように東証1部上場企業やそれに近い企業は、パソコンのログイン、ログアウトで労働時間の管理をしていると思います。
だから残業時間が規定時間を超えると会社から働くなと言われます。管理が厳しいところでしたら、パソコンが22時以降使えなくなるところもあるようです。
大きい企業については建築士であっても残業時間規制はより厳しくなっていくとワンワンは予想しています。
2020年以降の中小企業、小さな規模の設計事務所
2020年以降は、中小企業でも残業時間規制強化・罰則が施行されます。もちろん小さな設計事務所でも守らないといけません。
ただ中小企業だと36協定を結んでいないところが多いです。ただ36協定を結ばないで残業をさせると罰則・罰金になりますので、36協定を結ぶ企業も増えてくると思います。
中小企業でも小さい規模の会社ではタイムカードを早めに押すなど労働時間の改竄を要求される可能性はあります。そして残業時間や労働時間を管理する人材もいないので、働き方改革法をしっかりと守られない可能性があります。
そしたら罰金では?となると思いますが、改竄した労働時間を労働基準局に提出するのでバレない可能性があります。
つまり、中小企業の中でも小さい規模の会社、設計事務所では今と変わらない労働環境が続く(つまり残業時間が多い)のではとワンワンは予想しています。
ワンワンの経験上の話
ワンワンは小さな設計事務所(10人くらい)に勤めたことがあります。
設計事務所って残業多いイメージだと思いますが、ワンワンはあまり残業しなかったです。これは、ワンワンが一番売り上げ(会社の売り上げの3割くらい)を上げてたし、仕事の評判により新規のお客さんを呼び込めたりできたからです。
つまり、結果を出して時間内に仕事を終われば誰も文句を言いません。というより言わせませんという感じでしたが、あとは勇気を出して早く帰る人のイメージを定着させることも大切です。
まあ、最後は仕事が重なり一杯になって過労で倒れて辞めたというオチですが。。。それはまた後ほどブログに書いていきます。しかし、それまでの数年間は残業をほとんどせずに帰れてました。
事実、設計事務所は残業が多いと思います。ワンワンも過労で倒れていますので。しかし、設計事務所でも仕事のやり方によっては残業を少なくできるとワンワンは思ってます。
「設計事務所にも働き方改革法が影響あるのか?残業時間は少なくなる!?」まとめ
働き方改革法(有名なところを抽出)
- 残業時間の規制強化・罰則
- 有給休暇5日消化義務
- 同一労働同一賃金(2020年から)
- 高度プロフェッショナル制度
建築業界への影響
大きい企業については建築士であっても残業時間規制はより厳しくなっていく。残業時間が減る傾向になっていく。
中小企業の中でも小さい規模の会社、設計事務所では今と変わらない労働環境が続く。残業時間が変わらない。