こんにちは、ワンワンです。
今回は不静定構造の柱梁ラーメン+片持ち梁の曲げモーメントを問う問題と柱の水平剛性を問う問題、2つをやっていきます。
不静定構造に問題が入ってくると難しいと感じるかもしれませんが、今までの構造力学の解き方がしっかりと理解できていれば問題は解けます。
今回の問題は新しい公式を覚えないと解けないので、その点を注意して進めていきたいです。
この記事では、
- 分割モーメントと水平剛性の問題
について1級建築士レベルの問題をワンワンが解説していきます。
この記事の目次
分割モーメントの問題

ラーメン構造に集中荷重9Pが作用した時の曲げモーメント図を描きなさい。ただし、梁部材の剛性は曲げ剛性はEI、柱部材の曲げ剛性は2EIとする。
固定支点が2箇所あるラーメン構造の曲げモーメント図を描く問題となります。難しそうに見えるかもしれませんが、実は簡単で美味しい問題です。
解き方の手順として
- AB間の梁の曲げモーメントを計算
- B点の曲げモーメントを分配
- 固定支点の曲げモーメントを計算
となります。
①AB間の梁の曲げモーメントを計算
このAB間の梁ですが、これは片持ち梁のように思えませんか?
B点に固定支点があって、A点が片持ち梁の先端に集中荷重9Pが作用していると考えます。

そうするとB点の曲げモーメントは力×キョリ=9P×L=9PLとなります。

②B点の曲げモーメントを分配
B点の曲げモーメント9PLとなることは分かりました。ではこの9PLはどのように固定支点まで伝わっていくでしょうか?
B点に繋がっている柱梁に曲げモーメントが伝わって、固定支点まで伝わります。そのB点に繋がっている柱梁はどのように9PLを伝えていくのかというと曲げモーメント9PLを柱梁の曲げ剛性に応じて分配します。
つまり、B点の節点で曲げモーメントが釣り合う形になります。
梁の曲げ剛性がEI、柱の曲げ剛性が2EIなので、1:2の割合で曲げモーメントを分配します。
梁:柱 = EI:2EI = 1:2
梁が負担する曲げモーメント
9PL × 1/3 = 3PL
柱が負担する曲げモーメント
9PL × 2/3 = 6PL
そして、AB間の梁の曲げモーメント9PLと釣り合うようになるので、下図のようになります。ラーメン構造の変形も考えると材の引張側がわかりやすいですね。


③固定支点の曲げモーメントの計算
B点の柱梁が負担する曲げモーメントが計算できたので、次に固定支点までどのように曲げモーメントが伝わるかという話です。
これは曲げモーメントの1/2(回転方向が逆)が固定支点に伝わります。下図のようになります。なぜ1/2かと言うのは、大学で習う構造力学の微分方程式を使うと1/2が出ます。

- 梁は3PL/2=1.5PL
- 柱は6PL/2=3PL
の回転方向が逆になるので、材の引張側も逆になります。これで曲げモーメント図が完成です。

この問題でチェックする項目は、
- 曲げモーメントは柱梁の曲げ剛性に応じて分配する
- 分配した曲げモーメントは釣り合うので回転方向が逆になる
- 固定支点に分配した曲げモーメントの1/2が伝わる(回転方向が逆)
となります。この3項目をチェックしてもらったら、曲げモーメント図の選択問題で正解を選ぶことができます。
水平剛性の問題

ラーメン構造に水平力Pが作用する時、柱A、B、Cの水平力の分担比QA:QB:QCを求めよ。ただし、3本の柱は全て等質等断面の弾性部材とし、梁は剛体とする。
この問題は柱の負担する水平力の比を算出する問題ですね。この問題を解くには公式を覚えてもらう必要があります。
水平剛性の公式
水平剛性は、水平力が作用した時に鉛直部材の変形に対する強さを示した数値となります。つまり水平剛性が大きければ変形に強い鉛直部材、水平剛性が小さければ変形に弱い鉛直部材となります。
その水平剛性の公式は下図のようになります。

K:水平剛性
Q:せん断力
δ:変形
h:高さ
E:ヤング係数
I:断面2次モーメント
この3つの式をしっかりと覚えましょう。他の問題でも使います。
水平力の分担比 QA:QB:QCの算出
水平剛性K=Q/δの式を使いましょう。
この式を変形するとQ=K×δになりますね。ではQA、QB、QCを出していきましょう。
Q=K×δより
QA = KA × δA
QB = KB × δB
QC = KC × δC
ここで、梁は剛体とするいう条件があります。剛体とはどんなに力を入れても変形しない物体となります。この剛体の梁に柱が剛接合で繋がっているので、変形量δが同じになります。
つまり、δA = δB = δC = δとなります。
QA:QB:QC = KA × δA : KB × δB : KC × δC
= KA × δ : KB × δ : KC × δ 共通項のδで割ると
QA:QB:QC = KA : KB : KC
つまり柱の水平力の分担比は水平剛性の比と言えますね。
公式で水平剛性を計算して、柱の水平力の分担比を算出する。
柱の水平力の分担比は水平剛性の比であることがわかったので、公式を使って柱A,B,Cの水平剛性を計算しましょう。
両端固定 K = 12EI/h(3)
一端固定他端ピン K = 3EI/h(3)
柱A 両端固定
KA = 12EI/{3h}(3) = 12EI/27h(3) = 4EI/9h(3)
柱B 一端固定他端ピン
KB = 3EI/h(3)
柱C 両端固定
KC = 12EI/h(3)
QA:QB:QC = KA:KB:KCより
QA:QB:QC = 4EI/9h(3):3EI/h(3):12EI/h(3)
= 4/9:3:12 = 4:27:108
答えはQA:QB:QC = 4:27:108
「1級建築士試験 構造力学 分割モーメントと水平剛性の問題」まとめ
分割モーメントの問題
- 片持ち梁部分の梁の曲げモーメントを計算
- 方持ち梁部分の根元にある節点の曲げモーメントを分配
- 固定支点の曲げモーメントを計算
節点の曲げモーメントは曲げ剛性に応じて、柱梁に分配する。
固定支点に分配した曲げモーメントの1/2が伝わる(回転方向逆で)
水平剛性の問題
水平剛性の公式

剛体の梁で柱が剛接合で繋がっている場合、全ての柱の変形量は同じになる。
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