こんにちは、ワンワンです。
今回は水平剛性・層せん断力問題と座屈問題についてやっていきます。
この二つの問題は毎年出題されている問題ではありません。特に水平剛性・層せん断力問題は出題頻度は少ないです。
なぜやるかと言うと、水平剛性・層せん断力問題は簡単であり、かつ重要な公式を使うからです。特に公式の方は覚えて欲しいです。
座屈問題は弾性座屈荷重の公式と座屈長さの公式を覚えてもらったら、簡単に解けます。
この記事では、
- 水平剛性・層せん断力問題
- 座屈問題
について、1級建築士のワンワンが解説していきます。
水平剛性・層せん断力問題

図のような水平力が作用するとき、水平剛性K1、K2、K3の比を求めよ。ただし、梁は剛とし、柱の伸縮ないものとする。また各層の層間変位が等しくなる。
この問題を解く時は、まず下の式を使いましょう。
K=Q/δ
K:水平剛性
Q:層せん断力
δ:層間変位
層せん断力と層間変位
層せん断力は、そう層より上の水平力を足した数値となります。
3層の層せん断力 Q3 = 5P
2層の層せん断力 Q2 = 5P + 3P = 8P
1層の層せん断力 Q1 = 5P + 3P + 2P = 10P
層間変位は、上階層の変位から当該層の変位を差し引いた数値となります。これは下図を見てもらったらわかります。

水平剛性の計算
まず公式 K = Q/δを当てはめてみましょう。
1層の水平剛性 K1 = Q1/δ1
2層の水平剛性 K2 = Q2/δ2
3層の水平剛性 K3 = Q3/δ3
水平剛性の比を出しましょう。
K1 : K2 : K3 = Q1/δ1 : Q2/δ2 : Q3/δ3
ここで問題文の条件に「各層の変位は等しくなる」があるので、
δ1 = δ2 = δ3 = δとします。
K1 : K2 : K3 = Q1/δ : Q2/δ : Q3/δ
共通項のδを消すことができるので、
K1 : K2 : K3 = Q1 : Q2 : Q3
ここでわかることは、水平剛性の比は層せん断力の比となります。層せん断力を代入しましょう。
K1 : K2 : K3 = 10P : 8P : 5P = 10 : 8 : 5
答えはK1 : K2 : K3 = 10 : 8 : 5
座屈問題

図の構造物A、B、Cの柱の弾性座屈荷重をPA、PB、PCを求めよ。ただし、全ての柱は等質等断面で、梁は剛体あり、柱及び梁の自重、柱の面外方向の座屈は無視する。
ここで条件として「全ての柱は等質等断面」とあるので、ヤング係数Eと断面2次モーメントIは構造物A、B、C共に同じとなります。
弾性座屈荷重の公式
弾性座屈荷重の公式は、
P = π(2)EI/lk(2) ( )は乗数を示す。
π :円周率(3.14)
E:ヤング係数
I:断面2次モーメント
lk:座屈長さ
ここで座屈長さが出てきます。この座屈長さは柱の長さではありませんので注意してください。 座屈長さは端部の固定具合で変わってきます。また水平移動が拘束されているかどうかによっても変わってきます。

弾性座屈荷重の計算
構造物Aの弾性座屈荷重
構造物Aは水平拘束無し、上端固定、下端ピンとなります。
座屈長さlk = 2L となります。
座屈長さ lk = 2 × 2h = 4h
弾性座屈荷重 PA = π(2)EI/(4h)(2) = π(2)EI/16h(2)
構造物Bの弾性座屈荷重
構造物Bは水平移動自由、上端固定、下端固定となります。
座屈長さlk = L となります。
座屈長さ lk = 4h
弾性座屈荷重 PB = π(2)EI/(4h)(2) = π(2)EI/16h(2)
構造物Cの弾性座屈荷重
構造物Bは水平移動拘束、上端固定、下端固定となります。
座屈長さlk = 0.5L となります。
座屈長さ lk = 0.5 × 6h = 3h
弾性座屈荷重 PC = π(2)EI/(3h)(2) = π(2)EI/9h(2)
答えは
PA = π(2)EI/16h(2)
PB = π(2)EI/16h(2)
PC = π(2)EI/9h(2)
「1級建築士試験 構造力学 水平剛性・層せん断力問題と座屈問題」まとめ
K=Q/δ
K:水平剛性
Q:層せん断力
δ:層間変位
層せん断力は、そう層より上の水平力を足した数値となります。
層間変位は、上階層の変位から当該層の変位を差し引いた数値となります。
P = π(2)EI/lk(2) ( )は乗数を示す。
π :円周率(3.14)
E:ヤング係数
I:断面2次モーメント
lk:座屈長さ
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