こんにちは、ワンワンです。
今回は振動の問題を解説していきます。
振動の問題は過去に計算問題と関連して文章の選択問題から出題されています。出題率が高い問題ではありませんが、計算問題は10年で4回ほど出題されています。
この振動問題は公式をしっかりと覚えて、解き方を練習すれば簡単に解けます。特に難しい問題ではありません。
また出題される問題内容もほぼ同じなので、過去問さえ解ければ基本的にOKです。
この記事では、
- 振動の問題解説
について1級建築士のワンワンが解説していきます。
振動の問題

棒A、B、Cにおける固有周期と棒に生じる応答せん断力を求めよ。ただし、TA、TB、TCは図-2のT1、T2、T3のいずれかに対応し、応答は水平方向であり弾性範囲内とする。
解き方の手順としては、
- 固有周期を計算
- 応答せん断力の計算
となります。
① 固有周期を計算
まずは固有周期の計算をします。
固有周期とは建物が地震で揺れた時、一往復をした時間を固有周期と言います。この固有周期を計算するには公式を使います。
T = 2π√(m/K)
T:固有周期
m:質量
K:水平剛性
この公式に当てはめて、A、B、Cの固有周期を計算しましょう。
固有周期 A
質量 m = m
水平剛性 K = K
TA = 2π√(m/K)
固有周期 B
質量 m = 2m
水平剛性 K = 4K
TB = 2π√(2m/4K) = 2π√(m/2K)
固有周期 C
質量 m = 3m
水平剛性 K = 2K
TC = 2π√(3m/2K) = 2π√(3m/2K)
② 応答せん断力の計算
次に応答せん断力の計算をしましょう。こちらも公式を使います。
Q = m × α
Q:応答せん断力
m:質量
α:応答加速度
質量は分かっていますが、応答加速度αが分かりません。ここで図-2を使って応答加速度αを導きましょう。
図-2を見ると、固有周期がわかれば応答加速度がわかります。ここで固有周期の順序を並べましょう。
- TA = 2π√(m/K)
- TB = 2π√(m/2K)
- TC = 2π√(3m/2K)
√の中の係数を見ると、TB < TA < TC となります。ここで、
- T1 = TB → αB = 0.4g
- T2 = TA → αA = 0.3g
- T3 = TC → αC = 0.2g
となります。

応答せん断力 A
QA = m × αA
質量 m = m
応答加速度 αA = 0.3g
QA = m × 0.3g = 0.3mg
応答せん断力 B
QB = m × αB
質量 m = 2m
応答加速度 αB = 0.4g
QB = 2m × 0.4g = 0.8mg
応答せん断力 C
QC = m × αC
質量 m = 3m
応答加速度 αB = 0.2g
QC = 3m × 0.2g = 0.6mg
答えは、
- QA = 0.3mg
- QB = 0.8mg
- QC = 0.6mg
補足説明
建物には固有周期があります。そして地盤には卓越周期があります。卓越周期は様々n地震動の中で、最も影響が大きい周期を言います。
そして建物の固有周期と地盤の卓越周期が近い場合、共振して建物が大きく揺れます。
だから建物の固有周期と地盤の卓越周期についても評価するために振動特性係数Rtを使って地震力を計算します。
もう一つ覚えて欲しいのが、変位応答スペクトル、速度応答スペクトル、加速度応答スペクトルのグラフです。



このグラフで固有周期が長くなると変位、速度、加速度はどのようになっているかについては理解してください。グラフの概略を書ければOKです。(簡単なグラフなので)
- 固有周期が大きくなると変位も大きくなる。
- 固有周期が大きくなると速度は一定になる。
- 固有周期が大きくなると加速度は減少する。
このグラフはスペクトルの傾向を簡易に書いたものとなります。実際は波打ったグラフになりますし、建物によっては異なったグラフになることもあります。1級建築士試験で分かりやすく表したグラフとなります。
「1級建築士試験 構造力学 振動の問題解説」まとめ
解き方の手順
- 固有周期を計算
- 応答せん断力の計算
固有周期の公式
T = 2π√(m/K)
T:固有周期
m:質量
K:水平剛性
応答せん断力の公式
Q = m × α
Q:応答せん断力
m:質量
α:応答加速度
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