構造力学の問題解説

1級建築士 構造力学 全塑性モーメント問題③ 2層ラーメン構造

こんにちは、ワンワンです。

全塑性モーメントの第3弾となります。これが最後の全塑性モーメント問題です。

なぜ3段階に分けたかというと、難しいと感じる人が多いのではと思ったからです。簡単な問題から順番にこなしていく事で、今回の問題が解けるようになります。

この問題が全塑性モーメント問題のまとめとなりますね。

だからといって、難しいそうだから無理とか思わないでくださいね。1級建築士の構造力学の問題は過去の同じような問題が出る事が多いです。

その問題の解き方をしっかりとできれば、構造力学の問題は怖くありません。

一番の近道は同じ問題を何度も解く事です。それで構造力学の問題解法を身につける事ができます。

この記事では、

  • 全塑性モーメントの問題

について、1級建築士のワンワンが解説していきます。

ワンワン
ワンワン
全塑性モーメント問題の最後は2層ラーメン構造の問題となります。総まとめにあたる問題ですね。この問題は難しいようで、解き方がわかれば簡単な問題となります。

全塑性モーメントの問題 第3弾

上記の図は水平荷重が作用した時の崩壊メカニズムを示したものである。下記の問題に答えよ。

  1. 最上階の梁のせん断力
  2. 鉛直反力V
  3. 水平荷重P
  4. 1階右側柱のせん断力と柱頭の曲げモーメント

①最上階の梁のせん断力

最上階の梁のせん断力はどのように計算したらいいでしょうか。

そのヒントとなるのは、

  • 最上階の梁の全塑性モーメント
  • 梁長さ

となります。

水平荷重が作用した時の曲げモーメントは下図のようになります。

梁の左と右の全塑性モーメントはMpとなります。せん断力は曲げモーメントの勾配となりますので、

Q=(左の曲げモーメント+右の曲げモーメント)/梁長さ

で梁のせん断力を計算する事ができます。では計算していきましょう。

QR=(Mp+Mp)/2l=2Mp/2l=Mp/l

答えはMp/l

②鉛直反力V

鉛直反力Vはどこから計算すればよいでしょうか。

それは梁のせん断力です。

二層ラーメン構造に水平荷重が作用すると下図のように力が伝達します。

つまり鉛直反力Vは最上階の梁のせん断力QRと2階の梁のせん断力Q2を足し合わせたものとなります。

最上階の梁のせん断力QRは計算したので、2階の梁のせん断力Q2を計算しましょう。先ほどと同じですね。

Q2=(Mp+Mp)/2l=Mp/l

鉛直反力V=QR+Q2=Mp/l+Mp/l=2Mp/l

答えは2Mp/l

③水平荷重P

水平荷重Pの計算は、仮想仕事の原理を使いますね。

まず水平荷重が作用した時のたわみ角をθと仮定します。この時の塑性ヒンジが出来ている箇所全ていたわみ角θとなります。

では、外力の仕事ΣPδを計算しましょう。

崩壊メカニズムを形成する時の水平荷重をPu、2Puとします。次に水平変位を計算します。この時の水平変位は水平荷重Puの時と2Puの時と分けて考えます。

この時に水平変位の計算はたわみ角×長さですね。

δ1=θ×2l=2lθ

δ2=θ×4l=4lθ

外力の仕事は

ΣPδ=Pu×2lθ+2Pu×4lθ=2Pulθ+8Pulθ=10Pulθ

次に内力の仕事ΣMθですね。

内力の仕事は塑性ヒンジができている箇所の全塑性モーメントとたわみ角を掛けた数値の合計ですね。

ΣMθ=2Mp×θ×2箇所(柱脚の塑性ヒンジ)+Mp×θ×2箇所×2本(最上階、2階の梁の左右塑性ヒンジ)=4Mpθ+4Mpθ=8Mpθ

最後はΣPδ=ΣMθですね。

10Pulθ=8Mpθ

Pu=4Mp/5l

答えは4Mp/5l

④1階右側柱のせん断力と柱頭の曲げモーメント

柱のせん断力

まずは1階右側柱のせん断力を計算しましょう。

まず層せん断力についてですが、鉛直部材(柱や壁)のせん断力の合計となります。

その層せん断力を計算しましょう。今回の2層ラーメン構造の層せん断力の関係は下図のようになります。

もう一つの決まり事があります。層せん断力はその層より上の水平力の合計です。

この言葉通りでいくと、

2階の層せん断力は2Pu →  2Q1+2Q2=2Pu

1階の層せん断力は2Pu+Pu →  1Q1+1Q2=2Pu+Pu

今回の問題の柱は柱長さ、柱脚の全塑性モーメントが左右同じになるので、左右同じ剛性の柱となります。

2Q1=2Q2、1Q1=1Q2より

2階の層せん断力は2Pu →  2Q1+2Q1=2Pu 2Q1=Pu

1階の層せん断力は2Pu+Pu →  1Q1+1Q1=2Pu+Pu 1Q1=3/2Pu

Pu=4Mp/5lを代入すると

2Q1=4Mp/5l

1Q1=(4Mp×3)/(5l×2)=6Mp/5l

答えは6Mp/5l

柱頭曲げモーメント

次に柱頭の曲げモーメントを計算します。まずは今までの計算で分かった数値を整理しましょう。

ここで柱頭の曲げモーメントは分からないのMと置きます。

柱のせん断力は曲げモーメントの勾配となります。梁と同じですね。

Q=(柱脚の曲げモーメント+柱頭の曲げモーメント)/柱長さ

上記の式に代入していきましょう。

6Mp/5l=(2Mp+M)/2l

この式をMについて計算すると

12Mp/5=2Mp+M   M=2Mp/5

答えは2Mp/5l

「1級建築士 構造力学 全塑性モーメント③」まとめ

梁のせん断力

Q=(左の曲げモーメント+右の曲げモーメント)/梁長さ

柱のせん断力

Q=(柱脚の曲げモーメント+柱頭の曲げモーメント)/柱長さ

仮想仕事の原理

ΣPδ=ΣMθ

層せん断力

鉛直部材(柱や壁)のせん断力の合計

層せん断力はその層より上の水平力の合計

ワンワン
ワンワン
今回の問題は全塑性モーメントの問題だけでなく、今までの構造力学の問題で学んだ事が含まれています。つまり、この問題で他の構造力学問題の復習も兼ねています。全塑性モーメント問題は決まった問題しか出ないので、繰り返し問題を解いてマスターしましょう!

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