こんにちは、ワンワンです。
1級建築士の構造の中で、計算問題は約6問出ます。実はそれ以外の文章問題でも計算問題が1問、または2問出る可能性があります。
その中の一つが木造の壁量計算となります。
壁量計算は複雑な計算はありません。解き方さえ分かってしまえば、点が取れる問題となっています。
それにこの問題を解けるようになれば、実務での壁量計算の中身を理解することができます。ぜひ出来るようになりましょう。
この記事では、
- 木造の壁量計算問題
について、1級建築士のワンワンが解説していきます。
壁量計算問題①

図のような平面の平屋建ての木造建築物である。壁量充足率と壁率比を求めよ、ただし、耐力壁の壁倍率は1とし、単位面積当たりに必要な壁量は15cm/m²とする。
この問題は、四分割法の計算問題を問われています。四分割法とは、建物平面を4分割して、耐力壁が足りているかチェックをする計算方法となります。
そして、4分割をした端の部分について検討します。図で示すとこの範囲になります。



つまりこの範囲の部分の壁量計算を行います。X方向とY方向がありますので、それぞれの方向ごとに計算をします。
建物は地震や風による力を受けると建物にねじれが生じます。その時にねじれに対して有効に働くのが建物の端の部分の耐力壁となります。

この建物の外側から1/4の範囲で耐力壁をしっかりと配置できるようにするための計算となります。
X方向の計算範囲(X方向の耐力壁のみを取り出しています。)X方向の範囲の時は、X方向の耐力壁のみを計算します。

Y方向の計算範囲(Y方向の耐力壁のみを取り出しています。)Y方向の範囲の時は、Y方向の耐力壁のみを計算します。

まずは壁量充足率を計算します。
壁量充足率=存在壁量/必要壁量(>1.0以上でOK)
必要壁量の計算は簡単です。面積×単位面積当たりに必要な壁量で出せます。
存在壁量は壁倍率×長さで計算できます。
X方向①
- 面積=2m×10m=20m²
- 必要壁量=20m²×15cm/m²=300cm=3m
- 存在壁量=1×5m=5m(壁倍率は1)
- 壁量充足率=5m/3m=1.67
X方向②
- 面積=2m×10m=20m²
- 必要壁量=20m²×15cm/m²=300cm=3m
- 存在壁量=1×2m=2m(壁倍率は1)
- 壁量充足率=2m/3m=0.67
Y方向①
- 面積=2.5m×8m=20m²
- 必要壁量=20m²×15cm/m²=300cm=3m
- 存在壁量=1×5m=4m(壁倍率は1)
- 壁量充足率=4m/3m=1.30
Y方向②
- 面積=2.5m×8m=20m²
- 必要壁量=20m²×15cm/m²=300cm=3m
- 存在壁量=1×6m=6m(壁倍率は1)
- 壁量充足率=6m/3m=2.00
壁量充足率が計算できたら、次に壁率比を計算します。
壁率比=小さい方の壁量充足率/大きい方の壁量充足率(>0.50 OK)
これはX方向、Y方向で計算した壁量充足率を使って計算します。X方向、Y方向ごとに計算します。
壁率比は0.50以上あれば、耐力壁のバランス配置が取れていることになります。壁率比が0.50未満の場合は耐力壁のバランス配置が取れていません。
しかし、壁量充足率が両端部共に1.00を超えている場合においては壁率比0.50未満でも壁量が十分に入っているのでOKとなります。
X方向の壁率比
- 小さい方の壁量充足率:X方向② 2/3=0.67<1.00
- 大きい方の壁量充足率:X方向① 5/3=1.67>1.00
- 壁率比=(2/3)/(5/3)=2/5=0.40<0.50 NG
Y方向の壁率比
- 小さい方の壁量充足率:Y方向① 4/3=1.30<1.00
- 大きい方の壁量充足率:Y方向② 6/3=2.00>1.00
- 壁率比=(4/3)/(6/3)=4/6=0.60>0.50 OK
壁量計算問題②

図のような2階建ての木造建築物であり、1階部分を示している。(総2階の建物であり、平家部分は無い)この時の壁量充足率と壁率比を求めよ、ただし、耐力壁の壁倍率は2とする。
この問題が①の問題と異なるところは、単位面積当たりに必要な壁量が問題文に指定されていない所です。
では壁量充足率の必要面積はどのように計算したらよいでしょうか?
実は単位面積当たりに必要な壁量はX方向、Y方向共に同じ値になります。壁量計算問題①では、15cm/m²と同じ値を使っていましたね。
この条件をうまく使って問題を解きます。
X方向の計算範囲(X方向の耐力壁のみを取り出しています。)X方向の範囲の時は、X方向の耐力壁のみを計算します。

Y方向の計算範囲(Y方向の耐力壁のみを取り出しています。)Y方向の範囲の時は、Y方向の耐力壁のみを計算します。

建物が総2階で平家部分が無いことが条件となります。一部が平家の部分があるときは、同じ単位面積当たりに必要な壁量の数値が使えません。平家部分は別の必要壁量の数値を使います。

この単位面積当たりに必要な壁量をAと置きます。
では計算していきましょう。
X方向①
- 面積=4m×2m=8m²
- 必要壁量=8m²×Acm/m²=8Acm
- 存在壁量=2×2m=4m=400cm(壁倍率は2)
- 壁量充足率=400cm/8Acm=50/A
X方向②
- 面積=8m×2m=16m²
- 必要壁量=16m²×Acm/m²=16Acm
- 存在壁量=2×4m=8m=800cm(壁倍率は2)
- 壁量充足率=800cm/16Acm=50/A
Y方向①
- 面積=5m×2m=10m²
- 必要壁量=10m²×Acm/m²=10Acm
- 存在壁量=2×2m=4m=400cm(壁倍率は2)
- 壁量充足率=400cm/10Acm=40/A
Y方向②
- 面積=8m×2m=16m²
- 16m²×Acm/m²=16Acm
- 存在壁量=2×4m=8m=800cm(壁倍率は2)
- 壁量充足率=800cm/16Acm=50/A
次に壁率比を計算します。
X方向の壁率比
- 小さい方の壁量充足率:X方向① 50/A
- 大きい方の壁量充足率:X方向② 50/A
- 壁率比=(50/A)/(50/A)=50/50=1.00>0.50 OK
Y方向の壁率比
- 小さい方の壁量充足率:Y方向① 40/A
- 大きい方の壁量充足率:Y方向② 50/A
- 壁率比=(40/A)/(50/A)=40/50=0.80>0.50 OK
単位面積当たりに必要な壁量をAと置いて計算すると、壁率比の計算できれいにAが消えます。そして壁率比が計算できましたね。
「1級建築士 構造力学 木造の壁量計算問題の解き方」まとめ
- 四分割法とは、建物平面を4分割して、耐力壁が足りているかチェックをする計算
- 壁量充足率=存在壁量/必要壁量(>1.0以上でOK)
- 壁率比=小さい方の壁量充足率/大きい方の壁量充足率(>0.50 OK)
- 壁量充足率が両端部共に1.00を超えている場合においては壁率比0.50未満でも壁量が十分に入っているのでOK
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