こんにちは、ワンワンです。
1級建築士の構造では構造力学以外にも文章問題が出題されます。どちらかと言えば、文章問題の方が多いです。
構造の問題が全部で30問あります。その内訳は、
- 構造力学:約6問
- 文章問題:約24問
となります。構造力学も大切な分野ですが、文章問題もしっかりと解けるようにならなければいけません。
文章問題は構造計算に関わる所から出題されます。そんな構造計算の入り口の荷重についてお話しします。
荷重とは、物に作用する力のことを言います。建築での荷重は大きく5つに分かれます。
- 固定荷重
- 積載荷重
- 積雪荷重
- 風荷重
- 地震荷重
今回はこの中の固定荷重、積載荷重、積雪荷重について焦点を当てていきます。
基本的に覚えることが多いですが、特に試験に出る確率が高いところを中心に話していきます。
この記事では、
- 固定荷重、積載荷重、積雪荷重
について、1級建築士のワンワンが解説していきます。
固定荷重

固定荷重とは、建物の躯体、仕上げ等の重さとなります。具体例を出すと、
- 柱、梁、壁の躯体の重さ
- 外壁、内壁の仕上げの重さ
- 床の仕上げの重さ
- 間仕切り壁の重さ
- 屋根仕上げの重さ
- 基礎の重さ
等となります。
身近に見えるものは固定荷重となりますね。
構造計算では仕上げや躯体の種類に応じて、固定荷重を計算します。
では、試験で出題される可能性が高いのは、コンクリートの単位体積重量となります。
コンクリートの単位体積重量は23kN/m3となります。そこに鉄筋を加えた鉄筋コンクリートの単位体積重量は1kN/m3を加えた24kN/m3となります。
積載荷重

積載荷重とは、机や本棚などの家具や人の重さとなります。この積載荷重は用途によって異なります。
例えば住宅の居室と店舗売場であれば、どちらの方が人や家具が多くて重いでしょうか。それは店舗売場となりますね。
このように用途によって建築基準法に最小値が定められています。
種類 | 床設計用 | 架構設計用 | 地震力算出用 |
住宅の居室等 | 1800N/m2 | 1300N/m2 | 600N/m2 |
事務室 | 2900N/m2 | 1800N/m2 | 800N/m2 |
教室 | 2300N/m2 | 2100N/m2 | 1100N/m2 |
百貨店、店舗の売場 | 2900N/m2 | 2400N/m2 | 1300N/m2 |
劇場、集会室 固定席 | 2900N/m2 | 2600N/m2 | 1600N/m2 |
劇場、集会室 その他 | 3500N/m2 | 3200N/m2 | 2100N/m2 |
教室、店舗の売場、劇場、集会室に連絡する廊下、玄関、階段 | 3500N/m2 | 3200N/m2 | 2100N/m2 |
屋上広場、バルコニー(学校、百貨店のみ) | 2900N/m2 | 2400N/m2 | 1300N/m2 |
全ての積載荷重を記載しているわけではありませんが、よく出る積載荷重表をまとめました。
特に床設計用の積載荷重が頻出となりますので、数値と用途を覚えましょう。
出る問題の例としては、積載荷重(床設計用)の比較問題です。頻出の比較としては、
- 教室と教室の廊下、階段
- 教室と教室の屋上広場
- 百貨店の売場と百貨店の屋上広場
となります。その他の比較も出題されるので、床設計用は必ず覚えることが大切です。
またこの表でわかるように、
- 床設計用>架構設計用>地震力算出用
の積載荷重の大きさの大小関係もしっかりと覚えてください。
倉庫業を営む倉庫の床の積載荷重は3900N/m2となります。これは最小値であるので、3800N/m2などの低い数値に設定することはできません。
積雪荷重

積雪荷重は名前の通りに雪の荷重となります。
雪は屋根や屋上にしか積もりませんから、屋根や屋上に雪が積もることを考えて構造計算をします。
雪が積もる地域と積もらない地域があります。そのため、地域によって雪が積もる量(積雪量)が設定されています。
地域は大きくわけて、
- 一般地域
- 多雪地域
の二つに分かれます。一般地域は基本的に雪が降らない地域となります。多雪地域には条件があります。それが、
- 垂直積雪量1m以上の区域
- 積雪の初終間日数(当該区域中の積雪か10の割合が1/2を超える状態が継続する期間の日数)の平年値30日以上の区域
です。
雪にも重さが指定されています。
- 一般地域では20N/m2
- 多雪地域では30N/m2
となります。
そして積雪荷重を計算するには、
積雪荷重=屋根の水平投影面積×垂直積雪量×積雪の単位重量
となります。これが積雪荷重の基本となる所です。
ここからは試験に出る可能性がある所だけとします。
屋根の積雪荷重は屋根勾配に応じて低減することができます。
- 条件としては屋根に雪止めが無いことです
- 屋根勾配が60度を超えると積雪荷重を0とできます
雪おろしを行う習慣がある地域では、雪おろしの状況に応じて垂直積雪量を1mまで低減できます。
屋根や屋上に雪が積もります。そして、その後に天気が良くなり暖かくなると雪が溶けます。その時に一部だけ雪が溶けて、その他部分は雪が溶けないことがあります
その時に雪が不均等な分布となるので、一面に雪が積もるより不利になることがあります。
「1級建築士 構造 固定荷重、積載荷重、積雪荷重」まとめ
固定荷重
コンクリートの単位体積重量は23kN/m3となります。そこに鉄筋を加えた鉄筋コンクリートの単位体積重量は1kN/m3を加えた24kN/m3となります。
積載荷重
種類 | 床設計用 | 架構設計用 | 地震力算出用 |
住宅の居室等 | 1800N/m2 | 1300N/m2 | 600N/m2 |
事務室 | 2900N/m2 | 1800N/m2 | 800N/m2 |
教室 | 2300N/m2 | 2100N/m2 | 1100N/m2 |
百貨店、店舗の売場 | 2900N/m2 | 2400N/m2 | 1300N/m2 |
劇場、集会室 固定席 | 2900N/m2 | 2600N/m2 | 1600N/m2 |
劇場、集会室 その他 | 3500N/m2 | 3200N/m2 | 2100N/m2 |
教室、店舗の売場、劇場、集会室に連絡する廊下、玄関、階段 | 3500N/m2 | 3200N/m2 | 2100N/m2 |
屋上広場、バルコニー(学校、百貨店のみ) | 2900N/m2 | 2400N/m2 | 1300N/m2 |
積雪荷重
- 一般地域
- 多雪地域
多雪地域について
- 垂直積雪量1m以上の区域
- 積雪の初終間日数(当該区域中の積雪か10の割合が1/2を超える状態が継続する期間の日数)の平年値30日以上の区域
- 一般地域では20N/m2
- 多雪地域では30N/m2
- 積雪荷重=屋根の水平投影面積×垂直積雪量×積雪の単位重量
1級建築士の構造力学の問題を知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士試験の風荷重について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
