こんにちは、ワンワンです。
全塑性モーメント問題は3回で出題される範囲の問題をやりました。今回は塑性断面係数Zpを使って問題を解いていきます。
問題は全塑性モーメント問題1回目でやった同じ問題とします。
全塑性モーメント問題1回目を知りたいあなたは、こちらをお読みください。
そこで、塑性断面係数Zpを使うと簡単に問題を解くことができるんだといういうことを感じれるかと思います。
ただし、下記のことを理解していることが前提です。
- 中立軸がX、Y軸のどちらか
- 断面せいはどちらか
これを理解していないと塑性断面係数Zpの計算でミスを起こします。
この塑性断面係数を使いこなせれば、簡単な計算で全塑性モーメント問題を解けるようになります。(全塑性モーメント問題①の範囲のみ)
この記事では、
- 塑性断面係数Zpを使った全塑性モーメント問題
について、1級建築士のワンワンが解説していきます。
塑性断面係数とは?
塑性断面係数は、全塑性状態になった時の断面係数となります。

上記の全塑性状態の時、長方形断面の全塑性モーメントを計算してみましょう。
圧縮力C=引張力T=b×d/2×σy=bdσy/2
応力中心間距離 j=d/2
全塑性モーメントMp=bdσy/2×d/2=bd2σy/4
また全塑性モーメントMpは下式でも計算ができます。
Mp=Zp×σy
このZpにあたるのがbd2/4となりますね。つまり
塑性断面係数Zp=bd2/4
この塑性断面係数は矩形断面であることが条件です。
塑性断面係数では一つ良い特徴があります。それが、
- 塑性断面係数を使って断面を足し引きが可能
となります。弾性範囲の断面係数Zを出すときは、断面2次モーメントIを出してから断面係数Zを計算しました。そのとき、H型形状の断面2次モーメントは足し引きして計算していましたね。
実は塑性断面けいすうZpは弾性状態の断面2次モーメントと同じように足し引きが可能となっています。
これの具体的な例は問題をやっていきましょう。
全塑性モーメント問題①
図のような状態の応力度は全塑性状態となっている。この時の圧縮力と曲げモーメントを算出せよ。ただし降伏応力度はσyとする。

この問題は塑性断面係数Zpを使って解いていきましょう。
まずは全塑性モーメントによって作用する引張力と圧縮力は等しいという条件を使えば、全塑性モーメントが作用する面積は下記のようになります。

次に塑性断面係数Zpを計算します。
この全塑性モーメントが負担する所の全塑性モーメントを計算すれば良いです。このときは、図形全体ー真ん中の図形=全塑性モーメントが負担する部分となります。

塑性断面係数Zp=5a×6a×6a/4 – 5a×4a×4a/4=45a3 – 20a3=25a3
全塑性モーメントMp=Zp×σyより
Mp=25a3×σy=25a3σy
圧縮力は中央の断面積(全塑性モーメントが負担する面積以外)となります。
N=a×4a×σy=4a2σy
答えはN=4a2σy Mp=25a3σy
全塑性モーメント問題②
図のような断面と形状に鉛直荷重Pと水平荷重Qが断面の重心位置に作用した時の底部(a-a)の応力度分布を示す。この時のPとQを算出せよ。ただし、断面は等質等断面とし、降伏応力度はσyとする。

まずは全塑性モーメントによって作用する引張力と圧縮力は等しいという条件を使えば、全塑性モーメントが作用する面積は下記のようになります。
次に塑性断面係数Zpを計算します。
図形全体ー真ん中の図形=全塑性モーメントが負担する部分


片持ち柱の軸力と曲げモーメント(a-a断面位置)
- M=Ql
- N=P
塑性断面係数Zp=d×4d×4d/4 – d×d×d/4=4d3 – d3=3d3
全塑性モーメントMp=Zp×σyより
Mp=3d3×σy=3d3σy
M=Mpより
Ql=3d3σy
Q=3d3σy/l
圧縮力は中央の断面積(全塑性モーメントが負担する面積以外)となります。
N=2d×d×σy=2d2σy
N=Pより
P=2d2σy
答えはP=2d2σy Q=3d3σy/l
「1級建築士 構造力学 全塑性モーメント問題④ 塑性断面係数Zp」まとめ
- 塑性断面係数Zp=bd2/4
- 塑性断面係数を使って断面を足し引きが可能
全塑性モーメント1回目〜3回目の問題を知りたいあなた、こちらをお読みください。


