こんにちは、ワンワンです。
静定梁、片持ち梁の問題はできるけど、静定ラーメンの問題は難しいと感じる方もいるかもしれませんが、静定梁、片持ち梁と同じ解き方で大丈夫です。
この記事では、
1級建築士試験レベルの静定ラーメン問題の曲げモーメント図
について、1級建築士を1発合格したワンワンが解説していきます。
単純梁について知りたいあなたは、こちらをお読みください。

片持ち梁について知りたいあなたは、こちらをお読みください。

この記事の目次
静定ラーメンの問題

上図のようなラーメン構造に二つの荷重が作用しています。その時の曲げモーメント図を書きましょうという問題です。
1級建築士試験の問題では、曲げモーメント図はどれが正しいかと選択する問題となります。選択基準としてどこを見るべきかについても書いていきます。
静定ラーメンとは、支点にピン支点とローラー支点があり柱と梁が門型に構成されている構造です。
釣り合い式で支点反力を算出
まずは釣り合い式を作りましょう。静定ラーメンだからといって、特別な解き方をするわけではありません。単純梁と同じ解き方です。
支点反力を仮定
A点のピン支点にHA(水平方向の力)、VA(鉛直方向の力)を仮定しましょう。E点のローラー支点にはVE(鉛直方向の力)を仮定しましょう。
そして、仮定した支点反力を図に書き込むと下図のようになります。

そこから釣り合い式を作っていきます。
水平方向については、水平荷重のPがB点にかかっています。そして支点反力のHAがあります。この関係で釣り合うように考えるとHA=P(左矢印)になることは明確です。
式を作ると
ΣX=0 HA = P
次に鉛直方向についてです。こちらは鉛直荷重2Pと支点反力VA、VEがあります。
ΣY=0 VA + VE = 2P
となります。これだけでは解けませんので、次はモーメントについてです。この時に回転の中心を支点A、Eのどちらかにしますが、どちらに置くべきか分かりますか。
支点A点に置きます。理由としては、A点の支点反力は2つあるからです。このA点を回転の中心とした場合、距離は0になるのでA点の支点反力の2つのモーメントは0となります。
ラーメン構造のモーメント計算の回転の中心は、支点反力が多い支点を中心に置きます。(つまりピン支点に)
ΣMA = 0 P × 2L + 2P × 2L = 4L × VE
2P + 4P = 4VE VE = 3/2 P
ここで大事なのは、モーメント M = 力 × キョリ です。そしてこのキョリは力の作用線(力の方向に引く線)と回転の中心 A点との垂直のキョリとなります。下図を参照してください。

VE = 3/2 Pと出たので、VA + VE = 2Pに代入しましょう。
VA + 3/2 P = 2P VA = P/2
支点反力を書き込んだ図が下図になります。

静定ラーメンの曲げモーメント図
支点反力が計算できたので、次は曲げモーメント図を書いていきます。
ピン支点、ローラー支点の曲げモーメントは?
最初の一番大切なことですが、ピン支点(A点)とローラー支点(E点)の曲げモーメントはいくつか分かりますか?答えは0です。
ピン支点とローラー支点の曲げモーメントは0になるということはしっかりと覚えましょう。
柱DE材(ローラー支点)の曲げモーメントは?
次にローラー支点がついた柱DE材の曲げモーメントはいくつか分かるでしょうか。
こちらも曲げモーメントは0になります。
理由としては、ローラー支点です。このローラー支点は鉛直方向のみ拘束できる支点となっています。だから鉛直方向のみ支点反力があります。
柱DE材だけを取り出してみましょう。

D点を中心として、曲げモーメントを考えてみましょう。E点の支点反力の作用線がD点を通るので、キョリは0になりますね。すると曲げモーメントは力×キョリなので、0になることがわかりますね。
この鉛直方向の支点反力って、柱DE材の軸方向の力だけですね。
ローラ支点のある柱部材の曲げモーメントは0になると覚えましょう。
柱AB材(ピン支点)の曲げモーメントは?
柱AB材の曲げモーメントは0になりません。そうすると曲げモーメントはいくつになるでしょうか。
柱AB材だけを取り出して考えてみましょう。下図のようになります。

そしてB点の曲げモーメントを計算します。B点の曲げモーメントはピン支点Aの水平反力Pにキョリ 2Lをかけた値になりますね。
MB= P × 2L = 2PL
そして次に柱の変形を考えてみましょう。B点に反時計回りの曲げモーメントが作用すると考えると、柱の内側(右側)が引張側(凸側)になります。
柱の曲げモーメントは、ピン支点の水平反力×柱長さと言えますね。

梁BD材の曲げモーメントは?
まず梁BD材の柱が取り付いているB点とD点の曲げモーメントはいくらになるか分かりますか?
これは柱部材で出した曲げモーメントと同じになります。柱と梁は剛接合で繋がっています。ここで重要なのは柱の曲げモーメントと梁の曲げモーメントは釣り合うということです。
釣り合うということは、柱の曲げモーメントの値は同じで、回転方向が逆になると釣り合いますね。
だからB点の曲げモーメントは2PL(下側引張)、D点の曲げモーメントは0になります。

あとは外力が作用するC点ですね。
こちらはC点で切って、ローラー支点E側を取り出して考えましょう。

このC点で釣り合い式を作ります。C点の曲げモーメントをMC(時計回り)と仮定します。
ΣMC=0
MC – 3/2P(VB) × 2L = 0
MC = 3PL
C点の曲げモーメントは、3PLと分かりました。梁の引張側は集中荷重が下向きに作用しているので、梁の下側が引張側(凸側)になるのがわかりますね。
あとは繋げていくだけで、曲げモーメント図ができますね。

補足説明
ここでは梁BD材のC点からローラー支点側を取り出して曲げモーメントを出しましたが、逆側のピン支点側を取り出してC点の曲げモーメントを計算するとどうなるでしょうか。
結果は、同じ値の3PL(下側引張)になります。確認していきましょう。

C点で釣り合い式を作ります。C点の曲げモーメントをMC(時計回り)と仮定します。
ΣMC=0
MC +P × 2L + P/2(VA) × 2L = 0
MC = -3PL
マイナス符号なので、MCは時計回りの逆の反時計回り(下側引張)となります。
つまり切って取り出したところは、柱と梁の接合部と同様に釣り合うってことがわかりますね。
切って取り出す時は、計算が簡単な方を取り出しましょう。つまりローラー支点側を取り出せば、計算が簡単ですね。
まとめ
静定ラーメン問題の解き方
①釣り合い式を立てて、支点反力を計算
曲げモーメントのキョリは回転の中心から力の作用線までのキョリ
②柱材の曲げモーメントの算出
ローラー支点側の柱の曲げモーメントは0
ピン支点側の柱は、取り出して釣り合い式を解く
③梁材の曲げモーメントの算出
柱に取り付く側の梁の曲げモーメントは、柱の曲げモーメントと釣り合う。
外力が作用している所からローラ支点側を取り出して、釣り合い式を解く
④曲げモーメントを繋いで、曲げモーメント図の完成
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