構造力学の問題解説

1級建築士 構造 構造設計の耐震計算ルートの分かれ方

こんにちは、ワンワンです。

構造計算をする時は、耐震計算ルートが主に3通りあります。

  • ルート1
  • ルート2
  • ルート3

では、このルートはどのように選択するのか、ルートによってどのような設計をしなければいけないのか?ということを理解する必要があります。

実は、この耐震計算ルート選択の問題は1級建築士の試験に出る確率が高いので、必ず理解するようにしなければいけません。

しかし、複雑でわかりづらい面もあるので苦手な人が多いところでもありますが、実はわかれば簡単に解ける問題へと変わります。

そこで、今回は耐震計算ルートについてわかりやすく解説していきます。

この記事では、

  • 耐震計算ルート

について、1級建築士のワンワンが解説していきます。

ワンワン
ワンワン
耐震計算ルートは複雑なように見えますが、条件を整理すれば簡単にルートが判断できます。例を挙げながら説明をしていきます。

耐震計算ルートとは

耐震計算ルートは建築基準法施行令第81条によって、ルートによっての構造計算について述べられています。それを簡単にまとめると下図のようになります。

まずどのルートの共通として、

  • 許容応力度計算
  • 使用上の支障防止の確認
  • 屋根ふき材等の構造計算

という一次設計を必ず行う必要があります。(4号建築物を除く)

そして次にルートを別れる判断をする一つが規模等によって耐震計算ルートを選択する必要があります。

この規模等というのが構造によって異なりますので各構造ごとに見ていきましょう。まずはルート1に適合する条件をあげていきます。

耐震計算ルート1とは

木造

  • 建物高さ≦13m
  • 軒の高さ≦9m

鉄骨造

  • 階数≦3
  • 建物高さ≦13m
  • 軒の高さ≦9m
  • 地震力の割増 Co=0.20→0.30
  • 保有耐力接合、保有耐力横補剛等

鉄筋コンクリート造

  • 建物高さ≦20m
  • 壁量、柱量が規定値以上
  • 設計用せん断力の割増等

基本的には建物規模で判断することになります。

耐震計算ルート2とは

これ以上の規模より大きな建物はルート2、ルート3に行きます。そこでまず最初にチェックする項目が層間変形角≦1/200です

この層間変形角≦1/200の確認は、ルート2・ルート3では必ずクリアにしなければいけない項目となります。

層間変形角≦1/200をクリアできなければ、耐震計算ルート2・ルート3は不可能です。

この層間変形角≦1/200をクリアすれば、次に高さ≦31mとなります。

これは耐震計算ルート2にするには、建物高さが31m以下にしなければいけません。

そして最後にクリアすべき条件として、

  • 偏心率≦0.15
  • 剛性率≧0.60
  • 塔状比≦4
  • その他諸条件

となります。その他諸条件は細かいのと試験に出る確率が低いので省きます。ここでは大きく3つの条件(偏心率、剛性率、塔状比)をクリアしてルート2を選ぶことができます。

耐震計算ルート3とは

耐震計算ルート3に行くには、

  • 建物高さが31m超えるもの
  • 偏心率>0.15
  • 剛性率<0.60
  • 塔状比>4

にあたる建物となります。つまり、ルート1、ルート2の両方に該当しない建物と言えますね。

そして最後の条件として、

  • 保有水平耐力 Qu ≧ 必要保有水平耐力 Qun (保有水平耐力の計算)
  • 塔状比>4の場合、建物が転倒をしないことの確認

をクリアして、ルート3を選ぶことができます。

判断とは

このルート表には判断という項目があります。これがどういうことかと言うと、ルート1で計算できる建物はルート2、またはルート3を選ぶことができます。

つまり、

  • ルート1の建物 → ルート2、またはルート3を選択可能
  • ルート2の建物 → ルート3 を選択可能
  • ルート3はルート3のみ

となります。逆にルート3の建物をルート1、ルート2に選択することはできません。

例題

例題1

高さ30mの鉄筋コンクリート造、地上6階建ての建物で下記の条件の場合の耐震計算ルートは3になる。

  • 偏心率、剛性率は規定値を満足(偏心率≦0.15、剛性率≧0.60)
  • 塔状比は5.0
  • 層間変形角≦1/200

答えは○

高さ30mでルート2の規模にはなっていますが、塔状比<4をクリアしていないので耐震計算ルート3となります。

例題2

高さ20mの鉄骨造、地上4階建ての建物で下記の条件の場合、保有水平耐力計算をしする必要はない

  • 剛性率が規定値を満足していない
  • 層間変形角≦1/200

答えは×

高さ30mでルート2の規模にはなっていますが、剛性率≧0.60をクリアしていないので耐震計算ルート3となります。耐震計算ルート3となれば保有水平耐力計算をする必要があります。

例題3

高さ10mの鉄骨造、地上3階建ての建物で下記の条件の場合、耐震計算ルート2を選択した。

  • 偏心率、剛性率、塔状比は規定値を満足(偏心率≦0.15、剛性率≧0.60、塔状比≦4
  • 層間変形角≦1/200

答えは○

高さ10m、鉄骨造の地上3階建てであればルート1を選択できます。そして偏心率、剛性率、塔状比が規定値を満足している、かつ層間変形角≦1/200から耐震計算ルート2を選択してもOKです。

「1級建築士 構造 構造設計の耐震計算ルートについて」まとめ

耐震計算ルート1

木造
  • 建物高さ≦13m
  • 軒の高さ≦9m
鉄骨造
  • 階数≦3
  • 建物高さ≦13m
  • 軒の高さ≦9m
  • 地震力の割増 Co=0.20→0.30
  • 保有耐力接合、保有耐力横補剛等
鉄筋コンクリート造
  • 建物高さ≦20m
  • 壁量、柱量が規定値以上
  • 設計用せん断力の割増

耐震計算ルート2

  • 層間変形角≦1/200
  • 偏心率≦0.15
  • 剛性率≧0.60
  • 塔状比≦4
  • その他諸条件

耐震計算ルート3

  • 層間変形角≦1/200
  • 保有水平耐力 Qu ≧ 必要保有水平耐力 Qun (保有水平耐力の計算)
  • 塔状比>4の場合、建物が転倒をしないことの確認
ワンワン
ワンワン
耐震計算ルートの条件を整理して覚える必要があります。1級建築士試験では出るパターンが決まっていますので、過去問をしっかり解くことで対策ができます。

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