構造力学の問題解説

1級建築士 構造 鉄骨造の耐震計算ルート1-1、1-2の違いは?

こんにちは、ワンワンです。

1級建築士試験の構造で出題される可能性が高い鉄骨造の耐震計算ルートがあります。

耐震計算ルートについて知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士 構造 構造設計の耐震計算ルートの分かれ方こんにちは、ワンワンです。 構造計算をする時は、耐震計算ルートが主に3通りあります。 ルート1 ルート2 ル...

木造、鉄筋コンクリート造では耐震計算ルート1について1つしかありませんが、鉄骨造だけはルート1が2種類あります。それが、

  • ルート1-1
  • ルート1-2

ではこのルート1-1、1-2は何が違うんでしょうか。

この違いについて試験で問われることがありますので、ぜひ理解しましょう。

この記事では、

  • 鉄骨造の耐震計算ルート1-1、1-2

について、1級建築士のワンワンが解説していきます。

ワンワン
ワンワン
耐震計算ルートは色んな決まりがあって、少し複雑になっています。鉄骨造ルート1-1、1-2は似ているところもあって、さらに分かりづらいかもしれません。このルート1-1、1-2の違いをしっかりと理解しましょう。

鉄骨造の耐震計算ルート1-1

鉄骨造ルート1-1にするには規模の条件があります。

  • 階数:3階以下
  • 高さ:13m以下
  • 軒高:9m以下
  • 柱スパン:6m
  • 延べ面積:500m2以下

構造設計に必要な条件が下記となります。

  • 標準せん断力係数Co:0.30以上
  • 筋交いの端部、接合部:保有耐力接合
  • 冷間成形角形鋼管の柱:柱に生ずる応力の割増

標準せん断力係数Coは地震力を計算する時に必要な地震層せん断力係数Ciを計算する時に使う係数となります。

  • Ci=Z・Rt・Ai・Co(0.30以上)

基本的にCoは0.20となりますが、鉄骨造の耐震計算ルート1-1の時は0.30に割増します。

筋交いの端部、接合部は保有耐力接合にしなければいけません。

保有耐力接合とは筋交いが全面的に降伏するまで破壊しなような接合にすることです。要は筋交い自体より強い端部と接合部にしましょうということです。

冷間成形角形鋼管とは、

  • STKR400、490
  • BCP235、295
  • BCR295

といった鋼管を柱に使用する場合は、地震時に生ずる応力を割増して断面検討をする必要があります。

これは冷間成形角形鋼管を製造する過程で、常温で鋼板を曲げ加工します。その時に角部が塑性化するので、鋼管の変形性能が低下します。

そのため、冷間成形角形鋼管を使用する場合は地震時に生ずる応力を割増する必要があります。

鉄骨造の耐震計算ルート1-2

鉄骨造ルート1-1にするには規模の条件があります。

  • 階数:2階以下
  • 高さ:13m以下
  • 軒高:9m以下
  • 柱スパン:12m
  • 延べ面積:500m2以下(平屋建ての場合は3000m2以下)

構造設計に必要な条件が下記となります。

  • 標準せん断力係数Co:0.30以上
  • 筋交いの端部、接合部:保有耐力接合
  • 冷間成形角形鋼管の柱:柱に生ずる応力の割増
  • 偏心率≦0.15柱
  • 柱、梁の幅厚比は規定値以下
  • 柱梁仕口部、継手部は保有耐力接合
  • 梁は保有耐力横補剛
  • 柱脚部は十分な強度と靭性を確保すること

耐震計算ルート1-1よりも多くの条件があることがわかります。

柱、梁の幅厚比は、部材が局部座屈して部材耐力が急激に低下しないようにするために決められた規定となります。

柱梁仕口部、継手部の保有耐力継手はルート1-1の筋交いの端部、接合部と同じ内容です。

H型鋼の梁は横座屈をするので、保有耐力横補剛を補剛材を配置することです。梁を大梁としたら補剛材は梁の小梁にあたり、式で決まった本数以上を入れるようにします。

耐震計算ルート1-1、1-2の違い

耐震計算ルート1-1、1-2を見比べると下記の違いがあります。

項目 ルート1-1 ルート1-2
階数 3階 2階
柱スパン 6m 12m
延べ面積 500m2以下 500m2以下(平屋建ては3000m2以下)
偏心率 なし 0.15以下
柱、梁の幅厚比 なし あり
柱梁仕口部、継手部 なし あり
梁の保有耐力横補剛 なし あり
柱脚の強度と靭性 なし あり

ルート1-1と1-2で異なった部分だけを取り出した表となります。

共通する項目は、

  • 高さ:13m以下
  • 軒高:9m以下
  • 標準せん断力係数Co:0.30以上
  • 筋交いの端部、接合部:保有耐力接合

となります。この違いの部分を理解しましょう。

例題

例題1

高さ11m、軒高9mの3階建ての建物で下記の条件の場合は、ルート1-1となり標準せん断力係数Coを0.30以上とした。

  • 延べ面積:450m2
  • 偏心率:0.20

答えは○

規模からしてルート1-1になります。その時の偏心率は規定されていないので、偏心率0.20と0.15を超えていてもルート1-1で判定してOKです。

例題2

ルート1-1の計算で、標準せん断力係数Coを0.30で地震力を算定した時には層間変形角と剛性率の検討を省略した。

答えは○

ルート1-1、ルート1-2共にルート1に該当するので、層間変形角と剛性率の検討は省力ができます。

耐震計算ルート1について知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士 構造 構造設計の耐震計算ルートの分かれ方こんにちは、ワンワンです。 構造計算をする時は、耐震計算ルートが主に3通りあります。 ルート1 ルート2 ル...

例題3

ルート1-2の計算で、標準せん断力係数Coを0.30で地震力を算定した時、偏心率を0.25とした。

答えは×

ルート1-2の時は、偏心率を0.15以下としなければいけません。

「1級建築士 構造 鉄骨造の耐震計算ルート1-1、1-2の違いは?」まとめ

ルート1-1、1-2の違い

項目 ルート1-1 ルート1-2
階数 3階 2階
柱スパン 6m 12m
延べ面積 500m2以下 500m2以下(平屋建ては3000m2以下)
偏心率 なし 0.15以下
柱、梁の幅厚比 なし あり
柱梁仕口部、継手部 なし あり
梁の保有耐力横補剛 なし あり
柱脚の強度と靭性 なし あり

ルート1-1、1-2の共通する項目

  • 高さ:13m以下
  • 軒高:9m以下
  • 標準せん断力係数Co:0.30以上
  • 筋交いの端部、接合部:保有耐力接合
ワンワン
ワンワン
耐震計算ルート1-1、1-2をまとめたものを見れば、簡単に違いがわかります。この部分を理解すれば、1級建築士試験の問題も簡単に解けます。ぜひ覚えましょう!

1級建築士試験の構造力学問題について知りたいあなたは、こちらをお読みください。

1級建築士試験 構造力学の問題解説!こんにちは、ワンワンです。 1級建築士の学科試験で構造は30点満点と重要な科目の一つとなっています。特に構造力学が不得意で苦手意識...