こんにちは、ワンワンです。
1級建築士試験の構造では
- 固定荷重
- 積載荷重
- 積雪荷重
- 風荷重
- 地震力
の構造設計の基礎となる荷重について出題され、その中で最も出題率が高いのが地震荷重です。
日本という国は地震が多い国なので特に地震については問われることが多いですし、1級建築士であれば知っとかなければいけない知識となります。
ここで1点を確実に取れるようにしましょう。
固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風荷重について知りたいあなたは、こちらをお読みください。
この記事では、
- 地震力の計算
について、1級建築士のワンワンが解説します。
地震力の計算について
まずは地震荷重の計算式を見ていきましょう。
$$Qi=Ci・Σwi$$
- Qi:地震力
- Ci:地震層せん断力係数
- Σwi:当該階から上階までの固定荷重と積載荷重(地震用)の合計
ここで地震力の計算するためにはCiとΣwiが必要なことがわかります。Ciは置いといてΣwiに注目してください。
Σwiはつまり建物の重さの合計と言えます。
例えば、3階建ての建物があり、各階の固定荷重と積載荷重(地震用)の合計を100kNと仮定します。そうするとΣwi(iは階を示します。)
- 3階のΣw3=100kN
- 2階のΣw2=100+100=200kN
- 1階のΣw1=100+100+100=300kN
となります。このことからわかることは階数が低い方が上階の支える荷重が増加し、そして荷重に比例して地震力も増加します。
まとめると
- 地震力は建物の重さに比例して大きくなる
- 地震力は階数が低い方が大きくなる
ということを覚えてください。次に地震層せん断力係数を見ていきましょう。
$$Ci=Z・Rt・Ai・C0$$
- Z:地域係数
- Rt:振動特性係数
- Ai:地震層せん断力係数の高さ方向の分布を表すもの
- C0:標準せん断力係数
ここでよくわからない記号が出てきているので、順番に見ていきましょう。
Z:地域係数
地域係数Zは、建築する場所によって定められています。これは、過去の地震の記録に基づいて設定されています。例えば、
- 東京都に建築する場合 Z=1.0
- 沖縄県に建築する場合 Z=0.7
となり、地域係数Zは0.7〜1.0の間で設定されています。地域係数Z=0.7は沖縄県だけなので、そこは覚えましょう。
Rt:振動特性係数
振動特性係数Rtは建物の振動特性を表すものとなります。これは建築する場所の地盤と建物の設計用一次固有周期T(通称:固有周期)によって決まります。

地盤には3種類あります。
- 第1種地盤(硬質)
- 第2種地盤(普通)
- 第3種地盤(軟弱)
この3種類の地盤によって振動特性係数Rtは違います。特に覚えて欲しいのは、第1種地盤の振動特性係数Rtは、第3種地盤の振動特性係数Rtより小さくなることです。
地盤と振動特性係数Rtの関係をグラフからしっかりと理解しましょう。
実務では第2種地盤となることが多いです。ごく稀に第1種地盤があったかと思います。
次に固有周期ですね。固有周期は建物が片側に揺れて戻ってくる時の時間を言います。これは建物の構造体によって違います。
$$T=h(0.02+0.01α)$$
- h:建物の高さ
- α:建物が混構造の場合、鉄骨造、または木造である部分の高さ比
このαは、
- 鉄骨造、または木造の建物の場合はα=1
- 鉄筋コンクリート造の場合はα=0
- 混構造の場合(鉄筋コンクリート造と木造、または鉄骨造の場合)はα=0〜1
となります。簡単に言えば、鉄筋コンクリート造のような剛い建物(剛性の高い建物)であれば、地震時の揺れは小さく、かつ固有周期も短いです。
しかし、木造、または鉄骨造の場合は、鉄筋コンクリート造に比べて、柔らかい建物(剛性が鉄筋コンクリート造に比べ低い建物)となるので、地震時の揺れは大きく、かつ固有周期も長くなります。
例えば、建物の高さが9mの鉄骨造の固有周期Tは、
$$T=9(0.02+0.01×1)=0.27秒$$
となり、地盤が第2種地盤であれば振動特性係数RT=1.0となります。
Ai:地震層せん断力係数の高さ方向の分布を表すもの
このAiは建物の高さ方向に対する補正係数となります。建物が高くなると地震によって大きく振動するため、上階に行くほどAiを大きくするようにしています。
$$Ai=1+\left(\frac{1}{\sqrt{αi}}-αi\right)\frac{2T}{1+3T}$$
- αi:建物全体の重量に対する当該階から上階までの重量比
- T:設計用一次固有周期
ここで覚えて欲しいことは下記となります。
- 上階に行くほどAiは大きくなる
- 固有周期が長くなるほどAiが大きくなる
- 1階のAiは1となる
C0:標準せん断力係数
このC0は建築基準法で決められています。
- C0=0.20以上
- 軟弱地盤の場合、C0=0.30以上
このC0は許容応力度計算をする場合に使う数値となります。保有水平耐力計算の場合は、C0=1.0を使用します。
「1級建築士 構造 地震力の計算について」まとめ
地震力の計算について
- 地震力は建物の重さに比例して大きくなる
- 地震力は階数が低い方が大きくなる
Z:地域係数
- 地域係数Zは0.7〜1.0
- 沖縄県の地域係数Zは0.7
Rt:振動特性係数
- 第1種地盤の振動特性係数Rtは、第3種地盤の振動特性係数Rtより小さくなる
- 固有周期の計算で鉄骨造、または木造の建物の場合はα=1
Ai:地震層せん断力係数の高さ方向の分布を表すもの
- 上階に行くほどAiは大きくなる
- 固有周期が長くなるほどAiが大きくなる
- 1階のAiは1となる
C0:標準せん断力係数
- C0=0.20以上
- 軟弱地盤の場合、C0=0.30以上