構造力学の問題解説

1級建築士試験 構造力学 断面2次モーメント

こんにちは、ワンワンです。

今回は断面2次モーメントについて書いていきます。

断面2次モーメントを使う問題としては、

  • 断面2次モーメントの比較問題
  • 柱の座屈耐力問題
  • 柱の水平剛性問題

があります。

これからわかることは、断面2次モーメントを計算できなければ他の問題も解けないことになります。

だからこそ断面2次モーメントの計算は重要になってきます。

この記事では、

  • 断面2次モーメントの比較問題

について、1級建築士に出題されるレベルの問題を解説していきます。

断面2次モーメントとは?

断面2次モーメントは、部材の変形に対してどの程度の強さがあるかを見る数値になります。これは部材の形状によって異なります。

断面2次モーメントの数値が大きいほど変形に対して強い、つまり変形がしにくいということになります。

断面2次モーメンの公式は、I=bh(3)/12ですね。( )は乗数を示します。

そして断面係数がありますね。断面係数は部材の曲げに対する強さを表します。これも公式がありましたね。Z=bh(2)/6

この基本的な公式は覚えてください。

断面2次モーメントの比較問題

この3つの形状のIx、Iy断面2次モーメントの比較をして、大きい順に並べてください。

形状はA図:長方形、B図:長方形穴抜き、C図:H型がありますね。この3つがよく1級建築士試験の断面2次モーメント問題に出る形状となります。これをマスターできれば、大丈夫です。

この問題ではX軸とY軸に関する断面2次モーメントの比較となります。

長方形の断面2次モーメント

まずは長方形の断面2次モーメントから解説していきます。

X軸に関する断面2次モーメント Ix の計算

まずはX軸に関する断面2次モーメントを計算していきます。

まずは公式のI=bh(3)/12を使います。

この時、bは幅、hはせい、つまり高さになります。ではX軸に対しては、どちらが幅bになりせいhになるでしょうか。

これはX軸に対して離れる方向、または直行方向をせいhとします。下図のようになります。

ではX軸に関する断面2次モーメントIxを出しましょう。

幅b=2a  せいh=4a

IxC=2a × 4a × 4a × 4a / 12 = 32a(4)/3

( )は乗数を示します。

Y軸に関する断面2次モーメント Iyの計算

まずはどちらが幅bになり、せいhになるか確認しましょう。

Y軸に対して離れる方向、または直行方向をせいhにします。すると下図のようになります。

ではY軸に関する断面2次モーメントIyを出しましょう。

幅b=4a  せいh=2a

IyC=4a × 2a × 2a × 2a / 12 = 8a(4)/3

( )は乗数を示します。

H型の断面2次モーメント

次はH型の断面2次モーメントの計算をしていきましょう。

X軸に関する断面2次モーメント Ix の計算

まずは上図を見てください。これはX軸の線とH型を3つの図形に分けた絵となります。各図形でバツを書いていますが、このバツの中心が各図形の図心位置となります。

図を見てわかるように、各図形の図心位置とX軸が離れていますね。このように図形の図心位置とX軸が離れていると単純に各図形の断面2次モーメントの足し合わせでは計算できません。

図形の図心とX軸が離れている場合は、下式で計算することになります。

Ix = bh(3)/12 + A × e(2)     A:断面積 e:偏心距離

こうなると計算が面倒くさく、計算ミスも増える可能性があります。

このH型のX軸に関しての断面2次モーメントの計算は下図のように考えます。

つまりH型ではなく、全体の四角形(H型の外形の四角形)から空洞部分(ウェブ部の隣の空洞部)を差し引くとH型と同じ形状になり、X軸に関する断面2次モーメントが計算できます。ここで確認をして欲しいことは、全体の四角形と空洞部分の図心がX軸を通っているというところです。

つまり偏心距離が0なので、Ix= bh(3)/12 が使えますね。

ではX軸に関する断面2次モーメントを計算していきましょう。

全体四角形の断面2次モーメント

幅b=3a  せいh=4a

Ix① = 3a × 4a × 4a × 4a /12 = 48a(4)/3

空洞部の断面2次モーメント

幅b=a  せいh=2a

Ix② = a × 2a × 2a × 2a /12 × 2箇所 = 4a(4)/3

H型のX軸に関する断面2次モーメント IxB = Ix① – Ix②

= 48a(4)/3 – 4a(4)/3 = 44a(4)/3

( )は乗数を示します。

Y軸に関する断面2次モーメント Ix の計算

上図のようにY軸に対しては、各図形の図心が通っていることがわかります。この場合は、各図形の断面2次モーメントの足し合わしで計算できます。

Y軸に関する断面2次モーメントの計算をするときは、幅、せいを間違えないように注意しましょう。X軸に関する断面2次モーメントの幅、せいと異なります。

ではY軸に関する断面2次モーメントを計算していきましょう。

フランジ部分の断面2次モーメント

幅b = a  せいh = 3a

Iy① = a × 3a × 3a × 3a /12 × 2箇所 = 9/2a(4)

ウェブ部分の断面2次モーメント

幅b = 2a  せいh = a

Iy② = 2a × a × a × a /12 = a(4)/6

H型のY軸に関する断面2次モーメント IyB = Iy① + Iy②

= 9/2a(4) + a(4)/6 = 14a(4)/3

( )は乗数を示します。

長方形穴抜きの断面2次モーメント

最後に長方形穴抜きの断面2次モーメントの計算をしていきます。

X軸に関する断面2次モーメント Ix の計算

上図のように長方形全体と穴抜き部分の図心はX軸を通っています。これはH型のX軸と同じく、全体四角形から穴抜き部分を差し引けば良いですね。

ではX軸に関する断面2次モーメントを計算していきましょう。

全体四角形の断面2次モーメント

幅b = 4a  せいh = 8a

Ix① = 4a × 8a × 8a × 8a /12 = 512a(4)/3

穴抜き部分の断面2次モーメント

幅b = 2a  せいh = 4a

Ix② = 2a × 4a × 4a × 4a = /12 = 32a(4)/3

長方形穴抜きのX軸に関する断面2次モーメント IxA = Ix① – Ix②

= 512a(4)/3 – 32a(4)/3 = 480a(4)/3

( )は乗数を示します。

ワンワン
ワンワン
Ix=480a(4)/3 は約分ができるけど、断面2次モーメントの比較をするので、約分をしていません。全て分母を3で合わせています。

Y軸に関する断面2次モーメント Ix の計算

上図のように長方形全体と穴抜き部分の図心はY軸を通っています。X軸と同じく、四角形全体から穴抜き部分を差し引けば良いですね。

ではY軸に関する断面2次モーメントを計算していきましょう。

四角形全体の断面2次モーメント

幅b = 8a  せいh = 4a

Ix① = 8a × 4a × 4a × 4a /12 = 128a(4)/3

穴抜き部分の断面2次モーメント

幅b = 4a  せいh = 2a

Ix② = 4a × 2a × 2a × 2a = /12 = 8a(4)/3

長方形穴抜きのX軸に関する断面2次モーメント IyA = Ix① – Ix②

= 128a(4)/3 – 8a(4)/3 = 120a(4)/3

( )は乗数を示します。

断面2次モーメントの比較

長方形空洞の断面2次モーメント

IxA = 480a(4)/3     IyA = 120a(4)/3

H型の断面2次モーメント

IxB = 44a(4)/3     IyB = 14a(4)/3

長方形空洞の断面2次モーメント

IxC = 32a(4)/3    IyC = 8a(4)/3

答え

X軸に関する断面2次モーメントの大小関係

IxA >  IxB > IxC

Y軸に関する断面2次モーメントの大小関係

IyA >  IyB > IyC

「1級建築士試験 構造力学 断面2次モーメント」まとめ

断面2次モーメントは、部材の変形に対してどの程度の強さがあるかを見る数値になります。

断面2次モーメンの公式は、I=bh(3)/12ですね。( )は乗数を示します。

長方形断面はX軸、Y軸に注意して公式を使って計算します。幅b、せいhを間違えないように注意してください。

軸に対して離れる方向、または直行方向をせいhとしてください。

H型断面はX軸については、全体四角形 – 空洞部 を差し引いて断面2次モーメントを計算しましょう。

Y軸については、各図形の断面2次モーメントを計算して足し合わせましょう。

長方形穴抜きについては、X軸、Y軸共に全体四角形 – 穴抜き部 を差し引いて断面2次モーメントを計算しましょう。

あと追加ですが円形の断面2次モーメントの公式を覚えましょう。

I = πD(4)/64  D:直径

ワンワン
ワンワン
各図形の断面2次モーメントの計算を練習してマスターしましょう。特に計算ミスが多くなるので、そこだけは注意しましょう。

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